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「不格好〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不格好の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
子はたまたま行きあう女の人たちの衣装を物珍しくながめやった。それがどんなに粗末な不格好な、いでたちであろうとも、女は自分以外の女の服装をながめなければ満足できな....
季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
な樹皮《じゅひ》です。渋い渋い感じの、そして質朴な、あの樹皮です。あの龍のような不格好《ぶかっこう》な老樹が、もし滑々《すべすべ》した肌をもっていたら、それはと....
緑の芽」より 著者:佐左木俊郎
ままはは》は、祖父のこの呟《つぶや》きを、快く聞き流しながら、背中に小さな子供を不格好に背負い込んで囲炉裏《いろり》で沢山の握り飯を焼いていた。 祖母は戸外か....
指と指環」より 著者:佐左木俊郎
ストになりきった現在では、常にワン・オクタアブを敲《たた》いているような、ひどく不格好な骨張った指になっていた。 彼は、だが彰子の指を忘れられなかった。そして....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
降りざるを得なかった。 車は後戻りすべく、夜更けの空気のなかに爆音を響かせて、不格好に迂回しはじめた。ぽかんと突っ立っていた豹一は周章てて飛びのいた。自然、豹....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った筈だがと思いながら、彼はそれを手に取ってながめると、虎は急に眼がさめたように不格好な首を左右にふらふらと揺がした。しかしお駒は醒めなかった。彼女はいつのまに....
ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
私のいちばん古い思い出は、霧のかかったようなあるイングランドの村にある、大きな、不格好な、エリザベス時代風の建物につながっている。その村には節瘤だらけの大木がた....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
岩さんが来る」山吹は周章てて叫んだが、「来たら返してやるばかりだね」 「ははあ、不格好なあの男がそれじゃ岩という男ですな」多四郎は鼻を鳴らしながら、「私の家の庭....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
念の暗示をあたえていた。細い曲がった一本の小枝、と言うよりはむしろ小枝に似たある不格好な細長い物体の上に、一人の――まるで形式を無視した、醜い盲人が斜めに身を支....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
行った。そうして、彼女は時代おくれの衣裳やお化粧をして、舞踏室になくてはならない不格好な飾り物のように、隅の方に席を占めていた。 舞踏室へはいって来た客は、あ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
あなたにはとても想像がつきますまいよ」 「オー!」と、僕は起ちあがって、はなはだ不格好に両腕をひろげながら叫んだ。「私はあなたが私のものでありしことを天に祈りま....
俊寛」より 著者:倉田百三
んとうに信じていないのですから。祈りの心はすぐにかれます。わしは宮の周囲にはえた不格好な樹立と、そしてちょろちょろと落ちる谷水を見ていると、何とも言えない欠乏の....
にらみ鯛 」より 著者:佐藤垢石
間煮つめた上、献ったので、そのために鯛は肉がばらばらになり、形が変わってまことに不格好な割烹ができあがるのであった。その上、吟味役が検査してから膳を運ぶのである....
雑煮」より 著者:北大路魯山人
の感じがよい。でも、客次第で餅の大きさも加減したらよい。若い者たちには多少体裁が不格好でも、大きいのを入れた方が歓迎されよう。出す相手と場合に応じて、それ相応の....
春さきの古物店」より 著者:小川未明
の体をしていては……。」といいました。 なぜなら机の四つ角は、小刀かなにかで、不格好に削り落とされて円くされ、そして、面には、縦横に傷がついていたのであります....