不知火[語句情報] » 不知火

「不知火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不知火の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
》へ往くと、己やらねえ」 亥「そうじゃアねえ、己が知らねえからよ」 長「なに不知火関《しらぬいぜき》を頼むと」 亥「全く金を十両くれたかよ」 長「そうよ....
島原の乱」より 著者:菊池寛
この宇土半島の西端と天草|上島の北端との間に、大矢野島、千束島などの島が有って、不知火有明の海を隔てて、西島原半島に相対して居るのである。 天正十五年、豊臣秀....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
った時は、ばたり、ばたりと、団扇にしては物寂しい、大な蛾の音を立てて、沖の暗夜の不知火が、ひらひらと縦に燃える残んの灯を、広い掌で煽ぎ煽ぎ、二三|挺順に消してい....
南地心中」より 著者:泉鏡花
中に、紅の袴一人々々、点々として皆|留まった。 と見ると、雲の黒き下に、次第に不知火の消え行く光景。行方も分かぬ三人に、遠く遠く前途を示す、それが光なき十一の....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
草、千住、それから先はどこまでだか、ほとんど想像にも及びません。――明石町は昼の不知火、隅田川の水の影が映ったよ。 で、急いで明石町から引返して、赤坂の方へ向....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、どうなりましょう。海を渡ればまた、四国、九州の新しい天地が開けます、有明の浜、不知火《しらぬい》の海、その名は歌のようにわたくしの魂の糸をかき鳴らしますけれど....
露肆」より 著者:泉鏡花
な響きで、片側|一条、夜が鳴って、哄と云う。時ならぬに、木の葉が散って、霧の海に不知火と見える灯の間を白く飛ぶ。 なごりに煎豆屋が、かッと笑う、と遠くで凄まじ....
水鬼」より 著者:岡本綺堂
で、すこぶる軽快な弁舌で次のごとき怪談を説きはじめた。 僕の郷里は九州で、かの不知火の名所に近いところだ。僕の生れた町には川らしい川もないが、町から一里ほど離....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
、斜めに鳴鶴ヶ|岬まで線を引いて、その半ばと思う点へ、ひらひらと燃え立つような、不知火にはっきり覚めた。 とそれは獅子頭の緋の母衣であった。 二人とも出て来....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
そこで、どこよりも清水だったが、待った、待った。広小路の数万の電燈、靄の海の不知火を掻分けるように、前の俥を黒門前で呼留めて「上野を抜けると寂しいんですがね....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
側川端の窓の燈は、お悦の鼈甲の中指をちらりと映しては、円髷を飛越して、川水に冷い不知火を散らす。が、屈んで、差出した提灯の灯で見ると、ああ、その柳の根に、叩きつ....
妖怪学」より 著者:井上円了
無形的精神の変化作用より生ずるものをいう。 今その一例を挙ぐれば、狐火、流星、不知火、蜃気楼、および京都下加茂社内へ移植する木はみな柊に変じ、尾州熱田に移養す....
迷信解」より 著者:井上円了
理的妖怪中、人の最も多く奇怪とするものは怪火である。怪火とは、竜灯、鬼火、狐火、不知火のごとき、火のあるまじき所に火光を見る類を申すのじゃ。これにも偽怪、誤怪に....
霊廟」より 著者:永井荷風
光は幾重《いくえ》にも重《かさか》った霊廟の屋根を銀盤のように、その軒裏の彩色を不知火《しらぬい》のように輝《かがやか》していた。屋根を越しては、廟の前なる平地....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
つまでも心に残っている。 井上は松浦潟《まつらがた》のたか島の娘であり、山下は不知火《しらぬい》の天草島の娘だった。どちらも人なつこい島育ちであったが、性格は....