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不精者
「不精者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不精者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
まちを歩けば、あれ嘘つきが来た。夕焼あかき雁の腹雲、両手、着物のやつくちに
不精者らしくつっこみ、おのおの固き乳房をそっとおさえて、土蔵の白壁によりかかって....
「誰」より 著者:太宰治
りを言ってくれ。」私は畳の上に、ほとんど大の字にちかい形で寝ころがっていた。 「
不精者よ。それだけは、たしかよ。」 「そうか。」あまり、よくなかった。けれどもサ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
夏大根の種をまき、茄子や瓜の苗を植えた。ゆうがおの種も播き、へちまの棚も作った。
不精者のわたしに取っては、それらの世話がなかなかの面倒であったが、いやしくも郊外....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を開けば、霜如雪。裏の井戸側に行って、素裸になり、釣瓶で三ばい頭から水を浴びる。
不精者の癖で、毎日の冷水浴をせぬかわり、一年分を元朝に済まそうと謂うのである。
....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
の日曜こそと思うと雨が降るし、傑作を作りましょうと思うと駄作が生まれる。私の如き
不精者がたまたま散髪屋へ行くと本日定休日という札が掛けてある。 近頃のリンカー....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
昔の五、六時間の下り船よりも私に歯痒さと退屈を感ぜしめた。 しかしながら、この
不精者をここまで引ずって来て自然の妖気に触れしめたことは即ちデイゼルでありプロペ....
「不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
であった。 登山の好きな桂月翁は、青年に伴れられてその山へ二日続けて登ったが、
不精者の私は旅館の二階に寝ころがって俳句などを考えていた。その桂月翁が最初に登山....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
からこの海千山千の代物《しろもの》が、貰いたての女房のような心意気を見せて、この
不精者が、おしろいの手を水仕《みずし》に換えて、輸入のテン屋を排撃して、国産を提....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
われ仲間の間でパイプが流行し出したような気がする。しかしパイプ道楽は自分のような
不精者には不向きである。結局世話のかからない「朝日」が一番である。 煙草の一番....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
らである。麻のハンカチはフロシキ大でもカサばらなくて荷に感じない。 私のような
不精者はいかにして簡便に暮すか、本能的に常時用意を怠らぬもので、長い独身生活の放....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
物の襟を胸まではだけているので、蘚苔のようにべったりと溜った垢がまる見えである。
不精者らしいことは、その大きく突き出た顎のじじむさいひげが物語っている。小柄だが....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
半分本気で言っていた。服装もお洒落ではなかった。身のまわりに気を使うには余りに
不精者であった。 しかし、信吉は、 「おれは精神的にはダンディだ」 と思って....
「郊外生活の一年」より 著者:岡本綺堂
夏大根の種をまき、茄子や瓜の苗を植えた。ゆうがおの種も播き、へちまの棚も作った。
不精者のわたしに取っては、それらの世話がなかなかの面倒であったが、いやしくも郊外....
「味覚馬鹿」より 著者:北大路魯山人
どうしても料理を美味しくつくれない人種がある。私はその人種を知っている。その名を
不精者という。 * 餅の中にも食べられぬ餅がある。やきもち、しりもち....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
も腰を据えて、人の騒ぐのを笑って見ているのは、南日君と長次郎だ。悪く言えば至極の
不精者で、能く言えば人間界では余り幅の利かない仙人という者に近い人なのであろう。....