不精髭[語句情報] »
不精髭
「不精髭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不精髭の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
辺に漂うているのを見ると、私はその無心を断り切れなかった。散髪の職人だというのに
不精髭がぼうぼうと生え、そこだけが大人であった。商売道具の剃刀も売ってしまったの....
「今朝の雪」より 著者:宮本百合子
ンを粗相で失くしたりは出来ないね、気をつけよう。正二の返事には、そうあった。短く
不精髭の生えた正二の口許や眼の表情が峯子には手にとるようにわかるのであった。 ....
「道標」より 著者:宮本百合子
靴を雪の上でふみかえながらせきたてた。じいさんは、口をきかない。その白髪まじりの
不精髭につつまれたじいさんの顔にある無限の疑りぶかさに伸子の目がひかれた。じいさ....
「火星の魔術師」より 著者:蘭郁二郎
後から歩いて来た男だ、と思いついた。 狭い草の道で、真正面に向合ったその男は、
不精髭のせいか年齢の見当もはっきりしない顔つきだったけれど、思いがけず人がよさそ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
の生活の急激な変化が一つの原因でもあったかも知れないと思う。私のそれまでの生活は
不精髭を蓄えて懐手をして、四畳半の座敷で火鉢を抱いて坐った切りの日常であったもの....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
た。わたしたちの知ったとき、もう浅吉の木菟のようなふくらんだ頬っぺたには白く光る
不精髭があったし、おゆきは、ばあやさんと呼ばれていた。 「ねえ、おゆきばあや、あ....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
止されて、いまは普通のお客と同じに店の青磁の茶碗。番茶を一口すすって、「僕のこの
不精髭を見て、幾日くらいたてばそんなに伸びるの? と聞くから、二日くらいでこんな....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
ら、というと、 「いや、全くそれは降参(浩さん)しやしたね」といってその農夫は、
不精髭に蔽われた熊のような顔でにやり笑ったのであった。....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
ると、頭の毛と髭とが延びてきて、ドモ又にあともどりする恐れがあるから、今後決して
不精髭を生やさないことにしてくれ。 とも子 そんなこと、私がさせときませんわ。 ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。」と頭を振り立てて豪傑笑いをした。その庄亮はまた、いつもになく、チョボチョボの
不精髭など剃っている。 「出かけるかな。だが、飲めないでしょう。お酒は。」 「麦....