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不釣合
「不釣合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不釣合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
畢竟それは善悪の霊と霊との争闘である。すべて世の乱れるのは、未発達なる霊魂の数が
不釣合に多くなった時で、従って大きな戦争の直後は、人心の悪化が、特に目立ちて強烈....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
と札に記してある。で、金屏風の背後から謹んで座敷へ帰ったが、上段の室の客にはちと
不釣合な形に、脇息を横倒しに枕して、ごろんとながくなると、瓶掛の火が、もみじを焚....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
眠不足らしい腫《は》れぼったい瞼《まぶた》や、かさかさに乾いた黄色っぽい顔面とが
不釣合に見えた。 (目賀野氏はもはや閣下ではない筈ですが……)と皮肉をいってやり....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
見窄しく見えたことであったか。流石に沈着剛毅な海軍軍人たちもこの明かな数量の上の
不釣合に重苦しい圧力を感ぜずにはいられなかった。 勝敗は、何処へ行く? ....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
のように大きいのです。 モーニングの袖からも手らしいものが出ていますが、それが
不釣合にも野球のミットのような大きさです。 いやもっと駭くことがあります。 ....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
みる。 中は、きちんと片づいていた。赤い友禅模様の夜具が、この部屋の主には少し
不釣合なほど艶《なまめ》かしい。帆村の手が伸びて、下段の端に置かれてある小型の茶....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
商なっていた。薪炭商から瓦斯の道具を売る店へ、文化進展の当然の過程だ。だが椅子へ
不釣合いにこどもを抱えて腰かけているおかみさんはもとのおかみさんに違いないが人相....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
の名女優セシル・ソレルだ。六十に近い小皺を品格と雄弁で目立たなくし、三十代の夫と
不釣合には見え無い。服装は今の身分伯爵夫人に相応しい第二帝政時代風のローブ・ド・....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
が子供の細工のように張り渡されていた。それに比較して色紐やモールは、けば/\しく
不釣合に大きい。 流石に胸もとがむかつくらしく白いハンケチを鼻にあてながら酸味....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
於ては十六も年の違う夫婦は余り多くは見当らなかった。年の若いお菊にはそれが余りに
不釣合のように思われた。まだその上に若旦那は色の黒い、骨の太い、江戸の人とは受取....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
水夫らの不平の声と、白く輝く甲板の上にかれらの靴のきしむ音とが、いかにも不調和で
不釣合いに響くのである。ただ訪れたものは一匹の北極狐のみで、これも陸上では極めて....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、彼女は答えた。 「わたくしは人に仕えることの出来る者ではありません。あなたとは
不釣合いです。なまじいに結婚して後日の恨みを残すような事があってはなりません」 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一 わたしがいつでも通される横六畳の座敷には、そこに少しく
不釣合いだと思われるような大きい立派な額がかけられて、額には草書で『報恩額』と筆....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るから一廉の武芸者らしい人物であった。 御新造のお常は、この時代の夫婦としては
不釣合いと云ってもいいほどに年の若い、二十七、八の上品な婦人で、ことばに幾分の奥....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
しいような新しい蚊帳は萌黄《もえぎ》の波を打たせて、うす穢《ぎたな》いこの部屋に
不釣合いなのもかえって寂しかった。その蚊帳越しのあかりに照らされた二人の顔も蒼く....