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不順
「不順〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不順の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
ぎ》れていた話を続け出した。
「内地はよろしゅうございますわね。気候もこちらほど
不順ではなし、――」
「参りたてでよくはわかりませんけれども、大へん雨の多い所で....
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。
三九
巡査の制服は一気に夏服になったけれども、その年の気候はひどく
不順で、その白服がうらやましいほど暑い時と、気の毒なほど悪冷《わるび》えのする日....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
と家が揺《ゆらめ》いた。
私《わし》は陀羅尼《だらに》を呪《じゅ》した。
若
不順我呪《にゃくふじゅんがしゅ》 悩乱説法者《のうらんせっぽうじゃ》
頭破作七分....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一 慶応二年の夏は
不順の陽気で、綿ぬきという四月にも綿衣《わたいれ》をかさねてふるえている始末であ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
絵馬屋の一件で、これも相当に古い店だということでした」 安政元年の春はとかくに
不順の陽気で、正月が例外に暖かであったと思うと、三月には雷鳴がしばしば続いた。取....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
棒が廻ろうという時分であった。 閏のあった年で、旧暦の月が後れたせいか、陽気が
不順か、梅雨の上りが長引いて、七月の末だというのに、畳も壁もじめじめする。 も....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
平助は炉の火で病人の薬を煎じながら言った。「おまけに今日はすこし雪が降る。どうも
不順な陽気だから、お前さんなんぞは尚さら気をつけなければいけないぞ。」 「ああ、....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
のだろう。満期の近い弱味からでもあろうか、ひどく弱り込まされた。まず七月早々あの
不順な気候にあてられて恐ろしい下痢をやった。食べるものは少しも食べないで日に九回....
「両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
の替りにお弟子さんを取るようになりましたのは、丁度、私が十七の春、とても、気候の
不順な年でございましたが、ふとした事から、母が二、三ヶ月|臥った事が、きっかけに....
「開運の鼓」より 著者:国枝史郎
一 将軍家斉の時代であった。天保の初年から天候が
不順で旱天と洪水とが交※道に横たわり死骸から発する腥い匂いが空を立ち籠めるという....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
に暮れて歩いていたためか、道を取り違えて淀川縁へ出た。 2 「去年からかけて天候
不順、五穀実らず飢民続出、それなのに官では冷淡を極め、救恤の策を施そうともしない....
「火の扉」より 著者:岸田国士
かな細君にはかつこうの話題というものがないらしい。 主人が現れる。これも天候の
不順なことゝ、薬価の暴騰につれて医者の商売も容易でないことをまくしたてる。 康....
「迷信解」より 著者:井上円了
酔わざること奇妙なりといい、狗の肝をとりて土にまぜて竃を塗るときは、いかなる不孝
不順の女人にても至孝至順の人となるといい、五月五日に鼈の爪を衣類の衿の中に置けば....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
都市といわれるK市の山麓に静かに住みながら(知らぬながらにも)何を好んでこの気候
不順なS町に移って来たのであろうか。それも病気保養のために! 自分は何とも答えら....
「俗臭」より 著者:織田作之助
という小さな撞球場兼射的場をひらいてさゝやかな暮しをしている、内地とちがい気候が
不順で困る、などとあり、この手紙のことは権右衛門の耳にいれぬ様にと念を押してあっ....