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不鮮明
「不鮮明〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不鮮明の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
なり、文章粗雑、きめ荒し、生活無し、不潔なり、不遜《ふそん》なり、教養なし、思想
不鮮明なり、俗の野心つよし、にせものなり、誇張多し、精神|軽佻《けいちょう》浮薄....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
どこで夏頃の不逞《ふてい》さや憎々しいほどのすばしこさを失って来るのだろう。色は
不鮮明に黝《くろず》んで、翅体《したい》は萎縮《いしゅく》している。汚い臓物で張....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
分小さいように思われて、それがやや不自然な観を与える。また、その部分の印像が特に
不鮮明で、形状の差異も、その辺が最もはなはだしかった。そして、往路の歩線は建物に....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ているのを見たのです」 「ふん、そんなにはっきり分ったのかい」 「いゝえ、極めて
不鮮明なんです。本の字と米だか林だかハッキリしない字と川の字、それから何とか内写....
「浴槽の花嫁」より 著者:牧逸馬
こと。 十二、各事件を通じて、死体はいずれも最少の費用と、最大の速度と、もっとも
不鮮明なる方法とによって埋葬《まいそう》されていること。 十三、各事件を通じて、....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
は、この薄膜の像が破れてしまうから、映像を生じないという説明や、また遠方の物体が
不鮮明に見えるのは長く、空中を飛行する間に無数の衝突を受けて、像のとがった角が次....
「科学者とあたま」より 著者:寺田寅彦
。この見かけ上のパラドックスは、実は「あたま」という言葉の内容に関する定義の曖昧
不鮮明から生まれることはもちろんである。 論理の連鎖のただ一つの輪をも取り失わ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
きないと思った。私は力強い全人格的の態度がとれなかった。私の行動はすべて曖昧に、
不鮮明であった。あらゆる行為が否定と肯定との間を動揺した。 私はこの生温き生き....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
のは政友会総裁鈴木喜三郎氏であった。 聞くところによると当時の氏は言語甚だしく
不鮮明で、昔日の生彩は地を払ってどこかへ行ってしまったそうだが、それはとに角、総....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
い黒ん坊とは違って、よく見なければ、西洋人でさえもモンゴリアンと見るほどに色彩が
不鮮明ですけれども、たしかに蒙古種に属する印度人か、そうでなければ印度とそれに近....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
夜、聖ミシェル街の酒場、大入繁盛のLA・TOTOの一卓で、数十年来この巴里の「|
不鮮明な隅」に巣をくっている大親分、日本老人アンリ・アラキと、親分のいわゆる「脱....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
時折|露西亜の写真も来るが、これは風俗として非常に趣味あるものであるが、とかくに
不鮮明なのが遺憾である。それからかつて「キネマトスコープ」即ち蓄音機応用の活動写....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
は前に云う通りルビが付いていない美濃紙四つ折刷の極めて粗末の印刷で、ところどころ
不鮮明で読めないようなところもある。印刷発行の日付第一冊「甲源一刀流の巻」は大正....
「悲願に就て」より 著者:坂口安吾
喧嘩をした。神経衰弱の傾向もあったのだ。そういう私も、近頃は又奇妙に、そして甚だ
不鮮明ないわば直観的な考え方によって、なぜか「抑制」と呼ぶものほど見事なものはな....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
へみゑ子を京都へ返してやれ、と言ってきた。私も姉の気持ちには同情した。そこで甚だ
不鮮明な態度で家内に相談したところ、家内はさっと顔色を変えて、とんでもありません....