世の常[語句情報] »
世の常
「世の常〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世の常の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
ました。が、さっきの腕の強さを見れば、――殊に兵法にも精《くわ》しいのを見れば、
世の常の坊主ではありますまい。第一こう云う大雪の夜《よ》に、庭先へ誰か坊主《ぼう....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
っていたのでございます。
八
こう御話し致しますと、中には
世の常の姫君たちに引き比べて、この御姫様の御行状《ごぎょうじょう》を、嘘のように....
「或る女」より 著者:有島武郎
ちくだくなりして見たかった。それだったのに思い入って内田の所に来て見れば、内田は
世の常の人々よりもいっそう冷ややかに酷《むご》く思われた。
「こんな事をいっては....
「星座」より 著者:有島武郎
めに一身を献《ささ》げようとするものに何んという不覚なことだ。昔から学者の生活が
世の常の立場から見て、淋しく暗らいものであるのは知れきったことだ。それは始めから....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
った。お蘭の玉の緒《お》を、いつあの白痴が曳《ひ》いて行ったか、白分が婿を貰い、
世の常の女の定道に入るとすれば、この世のどこかの隅であの白痴が潰《つい》え崩《く....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れてはいない。然し愛するものは必ず奪っている。ダンテが少年の時ビヤトリスを見て、
世の常ならぬ愛を経験した。その後彼は長くビヤトリスを見ることがなかった。そしてた....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
て」 その言葉は今でもクララの耳に焼きついて消えなかった。そしてその時からもう
世の常の処女ではなくなっていた。彼女はその時の回想に心を上ずらせながら、その時泣....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
来て、僕というものがどこかへ行ってしまったようだ。その間にあって、――毀誉褒貶は
世の常だから覚悟の前だが――かの「デカダン論」出版のために、生活の一部を助けてい....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
と思って出来ないことを、おまえが代ってして呉れるだけだ」と悦ぶにしても、ときには
世の常の良人が
世の常の妻にサービスされるあのまめまめしさを、逸作の中にある
世の常....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
に、美和子が去ってしまうと、前川は、しばらく味気なさそうに、煙草を吸いつづけた。
世の常の良人ならば、かかる場合には、たまりかねて、飛び出して来た自分の妻の心根に....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
にはならない。 他には、まだ詮索すれば、謙吉の不満もあったが……。 それは、
世の常の養子の例に洩れず、まだおゆうの名義に電話までがなっていることだ。 ちょ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いっても好い。鶴見にはその日にはじめて発心が出来たのである。 「おれの母は凡庸な
世の常の女であった。それに違いはあるまい。しかしそうであったとしたところで、その....
「光は影を」より 著者:岸田国士
いているらしい二人の生活というのは、彼女自身が、既に諦めきつている、普通の結婚、
世の常の夫婦生活ではないか。彼がどんなに理解に富み、深い愛情によつて彼女を病苦か....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
を放って、さぞ聞き辛くもあったであろう。許して呉りゃれ。何事も思うに足らぬは此の
世の常。お互いにお名号に慰められつつ兎も角も、生きて行く手段が肝要じゃ』 源右衛....
「西航日録」より 著者:井上円了
いわざるべからず。要するに、勤倹の結果は富強となり、怠惰の結果は貧弱となるは、渡
世の常則にして、動かすべからざるものなり。ゆえに、わが邦人はこの原則を守りて、ア....