世の習い[語句情報] »
世の習い
「世の習い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世の習いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
嬉しさに、げらげら笑い出さんばかりであった。 しかし、何事も永続きのしないのが
世の習いで、どんな喜びもつぎの瞬間にはもうそれほどではなくなり、更にそのつぎには....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
に張り合うほどのものは殿上にあるまいよ」と、忠通は憤るように言った。勢いに付くが
世の習いであることを、彼はしみじみと感じた。 その果敢《はか》ないような顔をじ....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
と証する程の出来事が驀地《ばくち》に現前せぬうちは、夢と思うてその日を過すが人の
世の習いである。夢と思うは嬉しく、思わぬがつらいからである。戦は事実であると思案....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ある。坂の中途に比丘尼塚の碑がある。無名の塚にも何らかの因縁を付けようとするのが
世の習いで、この一片の碑にも何かの由来が無くてはならない。 伝えて云う。天慶の....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
て、大音声を張り上げて、相も変らぬ怪しげな七五調を飛ばしはじめた。 「石が物言う
世の習い、習わぬ経を門前の、小僧に聴かれた上からは、覚えた経(今日)が飛鳥(明日....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
事がキツイ嫌《きら》いというばかり。さしたる事もないが、人事はよく言いたがらぬが
世の習い、「あの婦人《おんな》は裾張蛇《すそっぱりじゃ》の変生《へんしょう》だろ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の所想とすこぶる違う。さてその紳士その美人を娶れば娶り得るはずだったが、利に走る
世の習い、その美人よりも富んでさほどの標緻《きりょう》を持たぬ女を妻《めと》った....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろ、女に迷うているのではないか。女に迷うと金に詰まる、これは切ってはめたような浮
世の習いだ、君が、誼《よしみ》はあっても更に怨みというもののない拙者を討とうとす....
「辻馬車」より 著者:森鴎外
。本当になんでも無い事のお蔭で、どんな結構な事でも出来たり出来なかったりするのが
世の習いとかでございますのね。あなた、もうなんにもおっしゃりっこなしよ。後悔なす....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
自分の思いというものは一切空想で、行けば行くほど重しが加わってくるのが、結局この
世の習いではないか、それで、早くこの世を去るということが、かえって人間のいちばん....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
懐胎って、男の児でも生れれば、何のことはないのでございますが、そこがままならぬ浮
世の習いで、一|年経っても、二|年過ぎても、三|年が暮れても、ドウしても小供が生....
「源氏物語」より 著者:紫式部
いた。父君の死というものも日々|枕頭にいて看護してきたあとに至ったことであれば、
世の習いとしてあきらめようもあるのであろうが、病中にお逢いもできなかったままでこ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、夢見るような目附をなさったのを、いまでも忘れずにいます。夢想と現実との違うのが
世の習いですが、希望の大きかっただけに、母のその後の落胆の度も強かったのでしょう....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
けの報告では、小坂部に取っても寝耳に水で、何が何やら一向に判らなかった。この頃の
世の習い、いつどこでどんな軍が始まるやら、もとより見当は付かなかったが、それにし....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
様な荒物渡世をして、何うやら斯うやら其の日を送る身の上と成りました、栄枯盛衰は浮
世の習いとはいいながら、実に変り果てたるわけだて、御尊父は御壮健かえ、誠に壮健な....