世相[語句情報] »
世相
「世相〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世相の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
道具に交ぜて、ばらばら古本がある中の、表紙の除れた、けばの立った、端摺の甚い、三
世相を開けて、燻ぼったカンテラの燈で見ている男は、これは、早瀬主税である。 何....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しまったろう。それは全く悲しい事だ。そして不条理な事だ。しかしだれがこの不条理な
世相に非難の石をなげうつ事ができるだろう。これは悲しくも私たちの一人一人が肩の上....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
みているような気がしないのでもないのだ。だが、そんな気で、この秘話を聞き、今日の
世相を甘く見ていると、飛んでもない間違いが起ろうというものだ。たとえば今日アメリ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
場の新墓に灯れていそうに見えるから、だと解く。――この、お町の形象学は、どうも三
世相の鼇頭にありそうで、承服しにくい。 それを、しかも松の枝に引掛けて、――名....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
陰気な暗い処が潜んで、礼儀作法も、由緒因縁も、先祖の位牌も、色も恋も罪も報も、三
世相一冊と、今の蛇一疋ずつは、主になって隠れていそうな気がする処へ、蛇瓶の話を昨....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
軋轢、世界現状の行詰等を歎息するものは世間に多いが、それ等の中の幾人かが、かかる
世相の由って来る所を、奥深く洞察して世界平和の大計を講ずる資格があるであろうか。....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
元年、わたしが初めて北京へ行った時、ある友達から「ここの芝居は一番いいから、以て
世相を見てはどうかナ」と言われて、「芝居見物も面白かろう、まして北京だもの」と大....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
近ごろの
世相は私に精神的呼吸困難を感じさせることが多い。しかし、日本人がもしも本来の大和....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
屋信子だ。呆れていると、私に阿部定の公判記録の写しを貸してくれというのである。「
世相」という小説でその公判記録のことを書いたのを知っていたのであろう。私は「
世相....
「郷愁」より 著者:織田作之助
盤でなく、円形の盤であるためかなとも思った。実は新吉の描こうとしているのは今日の
世相であった。
世相は歪んだ表情を呈しているが、新吉にとっては、
世相は三角でも....
「荘子」より 著者:岡本かの子
旅人たちから諸国のニュースを聴かせて貰うのを楽しみによくここに集って来た。彼等は
世相に対する不安と興味とに思わず興奮の叫び声を挙げた。荘子はそういう雑沓には頓着....
「妖怪学」より 著者:井上円了
、かごに酔うことなし。 以上は『秘事百撰』『人家必用』『旅行用心集』『大雑書三
世相』等の書中に見えたるものを掲ぐ。これみな、マジナイそのものに効験あるにあらず....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
古を聴かされる。そのおかげで、わたしは七歳にして、もうお園六三の“誓いは二世と三
世相”や、小夜衣千太郎の“秋の蛙の声枯れて”などを無心に暗記するようになった。ま....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
自然に人をして信義を守るの必要を知らしむ。かくのごとき経験、注意、数回相重なり数
世相伝わり、風をなし俗をなし遺伝性をなし、ついに人をして生まれながら窃盗・詐偽の....
「囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
に徹して行こうとする勇気を欠いてはいないか。容易なだらけ切った気持ちで有るが儘の
世相の外貌を描いただけで、尚お且つ現実に徹した積りでいるなど、真に飽きれ果てた話....