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世間並
「世間並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世間並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
る。そのあげくが、笑ったり、泣いたり、けんかをしたり、仲直りをしたり――言わば、
世間並みの恋人どうしが、するような事をして、いつでも夜を明かした。
日の暮れに....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
感じていた。お鈴は彼女には「お嬢様」だった。重吉も――重吉は兎《と》に角《かく》
世間並みに出来上った男に違いなかった。が、彼女の軽蔑《けいべつ》する一匹の雄《お....
「文放古」より 著者:芥川竜之介
した話をするんじゃないの? そりゃあなた、情《なさけ》ないものよ。だからあたしも
世間並《せけんな》みに、裁縫《さいほう》をしたり、割烹《かっぽう》をやったり、妹....
「路上」より 著者:芥川竜之介
所を、ある伝手《つて》から二階だけ貸して貰ったので、畳《たたみ》建具《たてぐ》も
世間並の下宿に比べると、遥《はるか》に小綺麗《こぎれい》に出来上っていた。彼はそ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
簡方だから、はじめから悧怜でないのは知れてるんだ。馬鹿は構わん、どうせ、芸者だ、
世間並じゃない。芸者の馬鹿は構わんが、薄情は不可んな! 薄情は。薄情な奴は俺ら真....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
体的には何らの関心をも示していないのである。 いいかえるならば、映画会社はまだ
世間並の企業会社として一応の形態を備えていないのである。かかる場所で働いている従....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
寄せて、話をしたいんだろうが、いったいこれから何時間後に、それができるかね」 「
世間並にいえば、三週間だよ」 「君の引受けてくれる時間だけ聞けばいいんだ」 「こ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
いう法はない。承知の上で、何にも知らん振をしてくれるのは、やっぱりあの時の事を、
世間並に、私が余処の夫人を誘って、心中を仕損った、とそう思っているからです。 ....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
ございました。それは私達二人きりで作った家庭でなかったということをいえば、本当に
世間並な、因習と情実をもった「家」だということを、解って頂けることと存じます。た....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
たのも恐らく其時だったろう。それから――後はみんな、忘れてしまった。が、兎に角、
世間並の友人づき合いしかしなかった事は確である。それでいて、始終豊島の作品を注意....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
が突つ込んである所が家の中に一、二カ所は必ずある。 妻のもののしまい方は普通の
世間並とは大分違う。普通の人なら大概たんすにしまう品が食器棚にはいつていたり、流....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
からは木剣、刺股、袖搦を玄関に飾って威儀堂々と構えて軒並の町家を下目に見ていた。
世間並のお世辞上手な利口者なら町内の交際ぐらいは格別|辛くも思わないはずだが、毎....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
がたい沼南の人格を深く感嘆した。 それにしてもYを心から悔悛めさせて、切めては
世間並の真人間にしなければ沼南の高誼に対して済まぬから、年長者の義務としても門生....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
臠を探して描き出そうとしている。二葉亭の作だけを読んで人間を知らないものは恐らく
世間並の小説家以上には思わないだろうし、また人間だけを知ってその作を読まないもの....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
前に出でて名を成したがために文学上のアンビションを焔やしたのでさもなければやはり
世間並の職業に従事してシャレに戯文を書く位で終ったろう。従来片商売として扱われ、....