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世間的
「世間的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世間的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
く。とくと考えておけ」 兄は見かけによらず解った人であった。まだ若年な省作が、
世間的に失敗した今の境遇を、兄は深く憐んだのである。省作の精神を大抵推知しながら....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ルを得たことに、妙なちぐはぐな気持がした。 担任の主任教授は、復一を調法にして
世間的関係の交渉には多く彼を差向けた。彼は幾つかのこの湖畔の水産に関係ある家に試....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
この学者出の有名な社会事業家は、人格の丸味を一番声調で人に聞き取らせた。老紳士は
世間的には逸作の方に馴染みは深かったが、しかし、職務上からは、はじめて遇ったかの....
「遺書」より 著者:尾崎秀実
消極的な女で実につつましい片隅の家庭生活の幸福だけを私に望んでいたので、所謂私の
世間的な出世や華々しい成功などは寧ろ嫌っているのでありました。)だが私には迫り来....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
いて以て教えなければならぬ。今日以後の文人は山林に隠棲して風月に吟誦するような超
世間的態度で芝居やカフェーにのみ立籠っていて人生の見物左衛門となり見巧者訳知りと....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
た試練、み恵み、というような一種の宗教的な敬虔な感念を抱いた。 牢獄生活は広い
世間的生活の縮図だ。しかもその要所要所を強調した縮図だ。そしてこの強調に対するの....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
成行きを気にするようになりました。 本当にまだ無力な幼稚な自分の名があまりに
世間的に知られる事が恐いのと同時に、なぜ充分に認められてもいいTが認められないの....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
、物判りの好い夫婦でしょう。すっかり判ったような顔してらしったわ。「私のこと、対
世間的なことになると逸作は何でも危ながります」って私言ったの。こんな事も抒情的な....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
年にもならんで、御存じの通り、私は、色気もなく、慾気もなく、見得もなく、およそ出
世間的に超然として、何か、未来の霊光を認めておるような男であったのを御存じでしょ....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
惑の中にかなり長いこと苦しみました。それは、私の本当に行こうと欲している処と、対
世間的の虚栄心との長い争いがそんなに私を苦しめたのです。 最初に、二人の感情が....
「最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
るべく名を周知させぬようにしたのである。男はそれではとおらぬ時代になっても、女は
世間的な生活に触れることがすくなかったため、久しく、この風は守りおおせたものであ....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
わゆる反俗精神の裏づけあるものに限られていた。 だから、信吉の願いとは、つねに
世間的な出世にはなく、異色ある人物になり切ることであった。そして、そのように振舞....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
子であった。) 椿岳は晩年には世間離れした奇人で名を売ったが、若い時には相当に
世間的野心があってただの町人では満足しなかった。油会所時代に水戸の支藩の廃家の株....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
最後に結婚すべきか否かの決心をすることが真諦に当ります。俗諦は言葉を換えて言えば
世間的の知識経験のことで、真諦とは真理を覚り、それを信仰することであります。俗諦....
「俗臭」より 著者:織田作之助
た。賀来子にはその出生以外に何の欠点もない、その様な女を犠牲にしてまで小生は姪の
世間的幸福を願わぬ積りだ、というような意味のことを例の煮え切らぬ調子で返事に書い....