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「丙種〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丙種の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:太宰治
人ごみの陰から、こっそり覗《のぞ》いて、ただ、めそめそ泣いていたこともある。私は丙種《へいしゅ》である。劣等の体格を持って生れた。鉄棒にぶらさがっても、そのまま....
律子と貞子」より 著者:太宰治
大学生、三浦憲治君は、ことしの十二月に大学を卒業し、卒業と同時に故郷へ帰り、徴兵検査を受けた。極度の近視眼のため、丙種《へいしゅ》でした、恥ずかしい気がします、と私の家へ遊びに来て報告した。 「....
東京八景」より 著者:太宰治
あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と言い切れる自覚ではないか。私は丙種合格で、しかも貧乏だが、いまは遠慮する事は無い。東京名所は、更に大きい声で、....
正義と微笑」より 著者:太宰治
査のため田舎へ帰っていたのだが、しばらくして又、家へやって来た。近眼が強い為に、丙種だったのである。にきびが、とてもひどいけれど、わるい顔ではない。政治家になる....
伸子」より 著者:宮本百合子
と数日田舎で暮せるのがよろこびであった。和一郎は、近年肋膜を患ったので、乙種か、丙種かもしれなかった。それ故この滞在は、なお心軽やかであった。祖母の箪笥のひきだ....
秋風記」より 著者:太宰治
全く成る。敵軍|潰乱全線に総退却。 Kは号外をちらと見て、 「あなたは?」 「丙種。」 「私は甲種なのね。」Kは、びっくりする程、大きい声で、笑い出した。「私....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
まずまず敬遠しておくほうがいいという用心深い態度を守って、格別の興味を示さない。丙種の科学者になると、かえってこうした毛色の変わった問題に好奇的興味を感じ、そう....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
乙種―現在は、まだ充分の理解者とは言い難いが、やがてその可能性ある、いわば準同志丙種―主義理想には無頓着、ただ開墾労働者として日給をもらって働いている人 丁種―....
」より 著者:織田作之助
れだと思いますと答えた。徴兵官はそれきり黙ってしまったが、やがて下を向いたまま、丙種と呟いた。はッ、帰っても構いませんか。帰ってよろしい。検査場を出ると、私は半....