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両掛
「両掛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
両掛の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
伊賀越の浄瑠璃でおなじみの沼津の宿をさして行くことになりました。上下五人の荷物は
両掛けにして、問屋場の人足三人がかついで行く。主人だけが駕籠に乗って、家来四人は....
「縮図」より 著者:徳田秋声
同意した。それから先へ行くと、宿屋の構えも広重の画にでもありそうな、脚絆甲掛けに
両掛けの旅客でも草鞋をぬいでいそうな広い土間が上がり口に取ってあったりして、宿場....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ばできないことであります。兵馬は、やはり呆気《あっけ》に取られていると、和尚は、
両掛けの荷物でもぶらさげた気取りで、先に立ってサッサと歩き出しました。 しかも....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
様子を現わした。 「何んて恐ろしい顔付きだろう。あの妙な人の顔付きは!」 彼は
両掛けを取り上げた。そうして横手の潜り戸から坂の方へパタパタと逃げ出した。 「あ....
「鍛冶の母」より 著者:田中貢太郎
かえるようにして女に力をつけてやった。飛脚はまた女の背にあった包を解いたり、己の
両掛の手荷物を開けたりして、その中から有りたけの着更を出して用意をした。 暗い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たところがありません。六尺豊かの体格に、おそろしく長い大小を横たえて、旅の荷物を
両掛けにして、草鞋《わらじ》脚絆《きゃはん》厳《いか》めしく、小山の揺《ゆる》ぎ....
「立山の亡者宿」より 著者:田中貢太郎
る女の顔を見て笑った。 「御免よ」と云って庭からぬっと顔をだした者があった。肩に
両掛の手荷物を置いた旅人であった。それは亡者宿の主翁であった。小八は一目見て主翁....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
え上げた鉄造の体格で、見るからに頼もしいのが、沓脱の上へ脱いだ笠を仰向けにして、
両掛の旅荷物、小造なのを縁に載せて、慇懃に斉眉く風あり。拓の打侘びたる言を聞いて....
「四十八人目」より 著者:森田草平
若党仲間どもを加えて、同勢すべて十人、「日野家用人垣見五郎兵衛」と大書した絵符を
両掛長持に附して、関所関所の眼を眩ましながら、五十三駅を押下った。そして、二十三....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
しい。 道中三日を費やして、友蔵は甲府の城下へ着いた。 旅籠へ泊った友蔵は、
両掛からこっそり地図を出し、あらためて仔細に調べ出した。 すると、隣室の間の襖....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
春の雪ではあったが、足は、凍えて、いつの間にか、指の感覚が無くなっていたし、
両掛けにしている小さい荷物が、旅慣れない肩には、もう、重くなって来ていた。だが
....
「菜の花物語」より 著者:児玉花外
列が来るようだ。だんだん人影が近づいたがこれは田舎の婚礼であった、黒いのは一箇の
両掛で、浅黄模様の被布をした長櫃が後に一箇、孰れも人夫が担いで、八九人の中に怪し....