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両眼
「両眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
両眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
銅色《しゃくどういろ》を帯びた上、本多正純《ほんだまさずみ》のいったように大きい
両眼を見開いていた。
「これで塙団右衛門も定めし本望《ほんもう》でございましょう....
「或る女」より 著者:有島武郎
様子のないという事だった。実際男の一文字眉《いちもんじまゆ》は深くひそんで、その
両眼はひときわ鋭さを増して見えた。それを見て取ると葉子の心の中はかっとなったが、....
「或る女」より 著者:有島武郎
かにその部屋を抜け出して戸外に出た。
降るような真昼《まひる》の光線にあうと、
両眼は脳心のほうにしゃにむに引きつけられてたまらない痛さを感じた。かわいた空気は....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
》なれども言々風霜を挟《さしはさ》みて、凛《りん》たり、烈たり。馭者は感奮して、
両眼に熱涙を浮かべ、 「うん、せっかくのお志だ。ご恩に預かりましょう」 渠は襟....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
くと泳ぐと聞いた。 そう言えば湯屋《ゆや》はまだある。けれども、以前見覚えた、
両眼《りょうがん》真黄色《まっきいろ》な絵具の光る、巨大な蜈※《むかで》が、赤黒....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、酒井俊蔵であった。 けれども、礼之進が今、外へ出たと見ると同時に、明かにその
両眼を※いた瞳には、一点も睡そうな曇が無い。 惟うに、乗合いの蔭ではあったが、....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
の群、斉く飛連れてあたりに舞う。雷やや聞ゆ。雨|来る。 薄 (薄暗き中に)御覧、
両眼|赫燿と、牙も動くように見えること。 桔梗 花も胡蝶もお気に入って、お嬉しい....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
へ落ちようとしたっさ。――その話にでも嫌いな按摩が。 ええ。 待て、見えない
両眼で、汝が身の程を明く見るよう、療治を一つしてくりょう。 で、翌日は謹んで、....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
枕に寝僵れたる、身体は綿とぞ思われける。 伝内はこの一言を聞くと斉しく、窪める
両眼に涙を浮べ、一座|退りて手をこまぬき、拳を握りてものいわず。鐘声遠く夜は更け....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
るで薄いガラス越しに見た未完成のスケッチのように醜くなっていた。その顳※の上や、
両眼の下や、両頬の窪みには、濃い紫の死びと色があらわれていた。又その色は彼の長い....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
すが、こうでございます、旦那様お見かけ申して拝みまする。」と言も切に声も迫って、
両眼に浮べた涙とともに真は面にあふれたのである。 行懸り、言の端、察するに頼母....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
慶事の紀念に、守刀としてお譲りします。肌身離さず大切に所持してもらいます……。』
両眼に涙を一ぱい溜めて、赤心こめて渡された紀念の懐剣――それは刀身といい、又装具....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
おも答えはない。もう一度彼はびくとも動かぬガンパウダーの横腹をたたきつけ、そして
両眼をとじて、夢中になって、讃美歌をどなりだした。するとそのとき、この恐ろしい影....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
だろう。……暗い舞台に浮出して、まったく、大理石に血の通うと云うのだね。――肩、
両眼、腰、足の先と、膚なりに、土耳古人が狙って縫打に打つんだが、弾丸の煙が、颯、....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ために蝙蝠の血などを頭へ塗っていた。)最後に僕の通っていた江東小学校の校長さんは
両眼とも明を失った上、前年にはたった一人の息子を失い、震災の年には御夫婦とも焼け....