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両肌
「両肌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
両肌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
下で、馬鹿踊を踊っているのである。
ひょっとこは、秩父銘仙《ちちぶめいせん》の
両肌をぬいで、友禅《ゆうぜん》の胴へむき身絞《みしぼ》りの袖をつけた、派手な襦袢....
「男女同権」より 著者:太宰治
気込みで家へ帰ってまいりましたが、忘れも致しません、残暑の頃の夕方で女房は縁側で
両肌を脱ぎ髪を洗っていまして、私が、おいきょうは大金を持って来たよ、と言い、その....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
もおまえの彫物《ほりもの》を写真に撮りたい。今度は、まる裸になるに及ばない、ただ
両肌を脱いで蟹のほりものを見せればいいのだと云うのです。それで、十五ドル呉れると....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
げんさんの後にはもう、神近がさびしそうな微笑をたたえて立っていた。 伊藤はまだ
両肌脱いだまま鏡台の前に坐って、髪を結いなおすかどうかしていた。神近の鋭い目がま....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
にきこえた。孟は息を殺してその成り行きをうかがっていると、暫くして張は散らし髪の
両肌ぬぎで出て来て、そのまま自分の寝床にあがって、さも疲れたように再び高鼾で寝て....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
」云いつゝ先ず手帳紙入など握み出して卓子に置き其上へ羽織を脱ぎ其又上へ帽子を伏せ
両肌脱ぎて突々と薪水室に歩み入りつ手桶の水を手拭に受け絞り切ッて胸の当りを拭きな....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
ござらぬ。思いも寄らぬ災難。言い開きも、めめしい。ここで命を。」と言いも終らず、
両肌脱いで脇差しに手を掛ければ、主人はじめ皆々駈け寄って、その手を抑え、 「誰も....
「死人の手」より 著者:田中貢太郎
稽古しておりましたので、夏の夜など私に教えてくれると云って、渋染にした麻の帷子の
両肌を脱いで、型を見せてくれました。ちっぽけな私は、老人の云うなりに、長い太い樫....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
にいずまいを正して、 「虎! ……権!」とつづけざまに大喝した。そして、いきなり
両肌をぬいで、 「それほど喧嘩がしたけりゃ、斬り合うなり、突き合なり、勝手にする....
「独房」より 著者:小林多喜二
囚人運動は矢張りゴッホには描けなかったのだろう。 俺はその中で尻をはしょって、
両肌ぬぎになり、おイちニ、おイちニ、と馳け足をはじめる。二十分だ。俺は運動に出る....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
をはじめ、父の俊亮がその仲裁にはいったときの光景を思い起していた。父は、その時、
両肌をぬいで二人の間に割って入り、「それほど喧嘩がしたけりゃ、おれを片づけてから....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
いつを脱いで、」 と胸をはだけた、仕方をする気が、だらしはない、ずるッか脱げた
両肌|脱で、 「旦那、五両にどうだ、とポンと投げ出しはどんなもんで。ヘッヘッ、お....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ですっぱりと顔を拭いてよ、そこでまた一安心をさせながら、何と、それから丸々ッちい
両肌を脱いだんだ、それだけでも悚とするのに、考えて見りゃちっと変だけれど、胸の処....
「妾宅」より 著者:永井荷風
ひら》で絶えず鬢《びん》の形を気にする有様をも見逃さない。さればいよいよ湯上りの
両肌《りょうはだ》脱ぎ、家《うち》が潰《つぶ》れようが地面が裂けようが、われ関《....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
油をふきながら、中仕切の外の壁に取りつけた洗面器の前に立った。リボンの簾越しに、
両肌《もろはだ》をぬぎ、折りかがんで顔を洗う姿が見える。肌は顔よりもずっと色が白....