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並び立つ
「並び立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
並び立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
げてそこへ随《つ》いて来た節子の方を顧みて言った。
沈黙は周囲を支配していた。
並び立つ古い墓標《はかじるし》も唯生き残るもののためにのみあるかのように見えた。....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
とした木立の間から射し入って、林に満ちた夕靄は煙るようであった。細長い幹と幹との
並び立つさまは、この夕靄の灰色な中にも見えた。遠い方は暗く、木立も黒く、何となく....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
れそうであった。勝重らは半蔵埋葬の場所を見回るため万福寺の山腹について古い墓石の
並び立つ墓地の間の細道を進んで行った。そこは杉の木立ちの間である。半蔵の祖父半六....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まり大きな国ではありません。 信濃、越後等の八百方里内外の面積を有する、それと
並び立つ時には、僅かに三十五方里を有するに過ぎないこの国は哀れなものであります。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
な鳴動であり、大きな姿勢ではありませんか、古今無双です、まさに天地の間《かん》に
並び立つものがありませんな」 関守氏が自己陶酔的に感歎している。その傍らから、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
名物は俳諧寺一茶ですよ……いや、信濃の国だけではありません、この点において一茶と
並び立つ人は天下にありません、一茶以前に一茶無く、一茶以後に一茶なしです……」 ....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
受けていたのである。
「僕を待ってるんじゃないかい?」アリョーシャはラキーチンと
並び立つとこう尋ねた。
「まさしくそのとおり、君をさ」ラキーチンはにやりと笑った....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
できたのかい」 「とんでもない。実はA大の久保博士ですなア。あの方は天下に先生と
並び立つ隠れもないその道の大家、名医ですが、あの方に後任をたのんでくれとのことで....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
の存するものを見るべし。しからばすなわち交際の親睦は、真率のうちに存して、虚飾と
並び立つべからざるものなり。 余輩もとより今の人民に向かいて、その交際、親子夫....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
る。霧は相変らず辺りをかすめて巻上り、目近かに見える烏帽子型の岩峰や、尾根尾根に
並び立つ尖峰を薄くぼかして、奇異な景観を造る。足下には霧のうすれた間から燻んだ雪....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
り》の街路に対してその間々に隠れている路地《ろじ》の興味である。擬造西洋館の商店
並び立つ表通は丁度電車の往来する鉄橋の趣に等しい。それに反して日陰の薄暗い路地は....
「三国志」より 著者:吉川英治
して、自分は何も呉の不幸を祈っているわけではない。むしろ呉の名誉も存立も、事なく
並び立つように、いささか一策をえがいて、その成功を念じておるものです」 「戦にも....
「三国志」より 著者:吉川英治
。いえまい、それほどな自信は叫べまい」 「だまれ、孔明すでに亡き今日、天下に俺と
並び立つ者はない。三度はおろか何度でもいってやろう」 魏延は馬上にそりかえって....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ん、というお計りなのである。――南都も深く宮方に契りおるもの。時を一つに、比叡と
並び立つならば、六波羅ごときは一朝に圧倒し去ろう。さりとて、このさい叡山に帝の遷....