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「中には〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中にはの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
だまま、綱を上《のぼ》ったり下《お》りたりする玩具の猿を眺めている。玩具屋の店の
中には誰も見えない。少年の姿は膝の上まで。
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綱を上....
「影」より 著者:芥川竜之介
にいて、じっとその視線を彼女の上に集注しているような心もちである。
が、寝室の
中には彼女のほかに、誰も人のいる理由はない。もしいるとすれば、――いや、戸には寝....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
文字を黒々とひき渡して、その上を通る車馬の影が、早くも水靄《すいあい》にぼやけた
中には、目まぐるしく行き交う提灯《ちょうちん》ばかりが、もう鬼灯《ほおづき》ほど....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《そうろうあいだ》……」――これがその仔細の全部であった。しかし血に染んだ遺書の
中には、もう一通の書面が巻きこんであった。甚太夫はこの書面へ眼を通すと、おもむろ....
「女」より 著者:芥川竜之介
の花へ下りた。蜘蛛《くも》は咄嗟《とっさ》に眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の
中には、まだ蜂《はち》の翅音の名残《なご》りが、かすかな波動を残していた。
雌....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ながゆ》も出来ず、※々《そうそう》風呂を出てしまったそうです。
共同風呂のまん
中には「独鈷《とっこ》の湯」の名前を生じた、大きい石の独鈷があります。半之丞はこ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
がら、静に手を傍《かたわら》の火鉢の上にかざした。金網《かなあみ》をかけた火鉢の
中には、いけてある炭の底に、うつくしい赤いものが、かんがりと灰を照らしている。そ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
叔母はその封書を開く前に、まず度《ど》の強そうな眼鏡《めがね》をかけた。封筒の
中には手紙のほかにも、半紙に一の字を引いたのが、四つ折のままはいっていた。
「ど....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
載せられません。
保吉 そうですか? じゃどこかほかへ載せて貰います。広い世の
中には一つくらい、わたしの主張を容《い》れてくれる婦人雑誌もあるはずですから。
....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
な事を云い合う内に、我々はもう風中を先に、狭い店の中へなだれこんでいた。
店の
中には客が二人、細長い卓《たく》に向っていた。客の一人は河岸の若い衆、もう一人は....
「初雪」より 著者:秋田滋
うしたッて云うんだい、え?」 そう云う良人は、ほんとうに幸福な人間だった。世の
中にはさまざまな生活があり、さまざまな快楽があるなどと云うことは、夢にも考えてみ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
予はまずその郵書を手にするより父の手にて記されたる我が姓名の上に涙を落したり。書
中には無事を問い、無事を知らせたるほかに袷襦袢などを便りにつけて送るとの事、その....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
は半白の老人で、立派な紳士が来る。学者もあり、実業家もある。夫婦連れのもあるが、
中には老婦人だけ来るのもある。自働車で来るのが多いという有様で、上流の紳士に科学....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
い方法で、この立派な教育者はまずまず申し分なく暮し、頭を働かす仕事には門外漢な連
中には、えらく安楽な生活をしていると思われたのだ。 先生というものは概して田舎....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
これ以上記されてなかった。 精神病専門の医者たちにこの書きものを見せたら、世の
中には、自分はそれと気付かないでいて、しかもこの残虐な狂人と同じように、巧に恐ろしいことをやる狂人が沢山あると言った。....