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中の人
「中の人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中の人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
糸毛《あかいとげ》の女車《おんなぐるま》が、静かに太郎の行く手を通りすぎる。車の
中の人は見えないが、紅《べに》の裾濃《すそご》に染めた、すずしの下簾《したすだれ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
りも一層現実的だった。彼は又何度も木剣を提げ、干し菜をぶら下げた裏庭に「水滸伝」
中の人物と、――一丈青|扈三娘《こさんじょう》や花和尚|魯智深《ろちしん》と格闘....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
かないが、彼はまだ今まで、読本の稿を起しているだろうか。そうしてそれがいつか日本
中の人間に読まれることを、夢想しているだろうか。…………
馬琴はこの記憶の中に....
「春」より 著者:芥川竜之介
ざ》の上の新聞紙包みを拡《ひろ》げると、せっせとパンを噛《か》じり出した。電車の
中の人々の目は云い合せたように篤介へ向った。彼女は彼女自身の上にも残酷《ざんこく....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
もならない。」
「それは君の一生の損だね。」
「何、損をしたのは僕じゃない。世界
中の人間が損をしたんだ。」
僕等はもう船の灯《ひ》の多い黄浦江《こうほこう》の....
「葱」より 著者:芥川竜之介
をかけて、自働ピアノの前に立っている所は、とんと竹久夢二《たけひさゆめじ》君の画
中の人物が抜け出したようだ。――とか何とか云う理由から、このカッフェの定連《じょ....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
球は床へ落ちる途端に彼女の前髪をかすめたらしかった。彼女は妙な顔をしたなり、電車
中の人々を眺めまわした。それは人々の同情を、――少くとも人々の注意だけは惹《ひ》....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
が、城の面積は人口の多い割に広くはない。従ってまた厠溷《しこん》も多くはない。城
中の人々はそのためにたいていはわざわざ城外へ出、大小便をすることに定《き》めてい....
「路上」より 著者:芥川竜之介
る事じゃない。他人までも不幸にする事だ。だろう。そうするといくら中位派でも、世の
中の人間が主我的《イゴイスティック》だったら、やっぱり不安だろうじゃないか。だか....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
いつか東洲斎写楽《とうしゅうさいしゃらく》の似顔画を見たことを覚えている。その画
中の人物は緑いろの光琳波《こうりんは》を描いた扇面を胸に開いていた。それは全体の....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
水絵の具を行楽の子女の衣服だの草木の花だのになすってくれる。唯《ただ》それ等の画
中の人物はいずれも狐の顔をしていた。
僕の母の死んだのは僕の十一の秋である。そ....
「運」より 著者:芥川竜之介
子《もみえぼし》をかけたのが、この頃評判の高い鳥羽僧正《とばそうじょう》の絵巻の
中の人物を見るようである。
「私も一つ、日参《にっさん》でもして見ようか。こう、....
「或る女」より 著者:有島武郎
ずる事がたびたびだった。葉子はその岡をあわれむ事すらもう忘れていた。
結句船の
中の人たちから度外視されるのを気安い事とまでは思わないでも、葉子はかかる結果には....
「初雪」より 著者:秋田滋
て自分の生れた家で暮していることが、心にも体にも、いちばん愉しいことだった。世の
中の人間が変った出来事を望んだり、次から次へ新らしい快楽を求めたりする心持が、彼....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
この三、四年の間は誰からも先生の噂を聞かない。あの面長の山田先生は或はもう列仙伝
中の人々と一しょに遊んでいるのであろう。しかし僕は相変らず埃臭い空気の中に、――....