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中の戸
「中の戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中の戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「巡査辞職」より 著者:夢野久作
。 といったような噂が一時、村の人々の間で有力になった。それにつれて滑稽にも村
中の戸締りが俄《にわか》に厳重になったものであったが、しかしそれとても別にコレと....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ずに残らねば何にもならぬ。 ◯七月八日は栗橋の吉田修子さんの婚礼があり、目下入営
中の戸主・卓治さんの心持もあり、私はその式に列した。それから平磯へいって講演をし....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
た。もし土屋総蔵のような理解のある人に今すこしその職にとどまる時を与えたらと、谷
中の戸長仲間でそれを言わないものはなかった。不幸にも、総蔵は筑摩県の官吏らに一切....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
く消えている。
「泥棒でござります! 早う、お出合い下さい!」
ガタガタと、家
中の戸が開く音がして、六尺棒や、木刀を押ッ取った若党、中間《ちゅうげん》がかけ出....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
の桝を見上げては、うれしさ胸にこみ上げ、それにつけても戸じまりは大事と立って、家
中の戸をしめて念いりに錠をおろし、召使い達をさきに寝かせて、それから亭主の徳兵衛....
「古狢」より 著者:泉鏡花
い。」 「どうして……それから。」 お町は聞返して、また息を引いた。 「その真
中の戸が、バタン……と。」 「あら……」 「いいえさ、怯かすんじゃあない。そこで....
「源氏物語」より 著者:紫式部
まれた人と見えた。紫夫人はそちらへ行って桐壺の方に逢おうとして、 「このついでに
中の戸を通りまして姫宮へ御|挨拶をいたしましょう。前からそう思っていたのですが機....
「盗難」より 著者:宮本百合子
は、ほんとに余り気が知れていやだと思って、故意《わざ》と閉めたままになって居る家
中の戸じまりを見て廻った。 湯殿から水口から、どこの隅までもゆうべ鍵をかけた通....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
、雨に濡れた風がサッと吹きこんできて、裾の女ものの下着をなぶる。
鋭い隻眼が雨
中の戸外に走っているうちに、しだいに左膳の頬は皮肉自嘲の笑みにくずれて来て、突然....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
のかぼそい遊女の責殺された幻が裏階子に彳んだり、火の車を引いて鬼が駆けたり、真夜
中の戸障子が縁の方から、幾重にも、おのずからスッと開いて、青い坊さんが入って来た....
「三国志」より 著者:吉川英治
野のものです」 「姓名は」 「※芝字は伯苗」 「いまの官職は」 「戸部尚書で、蜀
中の戸籍をいま調査しておりますが」 「戸籍の事務などは君の適任であるまい」 「そ....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
る仮住居というのは、例の牛込柳町の市川楽翁の隣家である。家主も隣の楽翁なら、留守
中の戸締りも、食事の世話も、一切、隣賄いというわけで、彼にとれば、こんな気楽な借....