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中の町
「中の町〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中の町の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
として思い設けぬ疑惑の雲をまた新しく呼び起こしたのです。――風もゆたかな春深い日
中の町を、右門の目を乗せた駕籠はぴたりと音の止まった伝六を従えて、ゆさゆさと、お....
「並木」より 著者:島崎藤村
し振でゆっくり話そう、ということに定《き》めて、街鉄《がいてつ》の電車で市区改正
中の町々を通り過ぎた。日比谷へ行くことは原にとって始めてであるばかりでなく、電車....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
衣服も着飾るようになった。 「この子には福がある。長く村落に蟄しているよりも、城
中の町に往復させて、世間のことを見習わせるがよかろう」 そこで、その末子が出て....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を見、左を見して、本郷森川宿から神田明神の横手に添い、筋違見附へと取って、復興最
中の町にはいった。 「これが江戸か。」 半蔵らは八十余里の道をたどって来て、よ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
町へ急いで来て、京都の方は大変だと知らせ、十九日の昼時に大筒鉄砲から移った火で洛
中の町家の大半は焼け失せたとのうわさをすら伝えた。半蔵が十一屋まで行って幸兵衛や....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と頬被をした。而して最早大分|硬ばって来た脛を踏張って、急速に歩み出した。
府
中の町を出はなれたかと思うと、追かけて来た黒雲が彼の頭上で破裂した。突然に天の水....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
から、家の小僧が一人、荷物を持ってついて来ました。 主人の考えでは、この旅は途
中の町で見世物を開き、客のありそうな村や、貴人の家には、五十マイルや百マイルは、....
「飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
とにかく、ここは奇妙な土地ですよ。今でもあの小さなヒダの国(ミノも加えて)の山
中の町や村々をテイネイに見て歩けば、中央の美術愛好家や歴史家に全然知られていない....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
出した男の話は神宮外苑のパン、サイダー売りを想わせ、『諸国咄』の終りにある、江戸
中の町を歩いて落ちた金や金物を拾い集めた男の話は、近年隅田川口の泥ざらえで儲けた....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
文化史方面のことにわたって、その造詣が深かった。現に戦災の前まで、静岡の新聞に府
中の町人史を連載していた。その乗杉が店の方を閉めてから、つい先年まで清水市史の編....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
が、一斉に散り、横撲りに、四人の顔へ降りかかった。四人の者は、そっと吐息をし、府
中の町が、一里の彼方、打ち開けた田畑の末に、黒く横仆っているのを、漠然と眺めやっ....
「酒渇記」より 著者:佐藤垢石
と鶉の焼鳥を盛り、羹は鯉の切身に、はた子を添えた。 この戦果を検すると、新吉原
中の町に住む伊勢屋言慶という老人が三升五合余りを飲んだ。馬喰町の大阪屋長兵衛とい....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
淋しくしかし平和に迎えました。二日の午後あまり天気が美しかったので車に乗って明石
中の町や川や公園などを見て廻りました。いろいろなものが私には物珍らしくいきいきと....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
子供ら相手に暢気に一日を遊んで暮したいと思ってくるのであった。耕吉は弟があの山の
中の町から出てきて、まるで別世界へでも来たように感心するのを、おかしがった。 「....
「落日の光景」より 著者:外村繁
態にあることに気づいたのは、妻がまだ築地の病院にいる時のことである。病院へ行く途
中の町角に、某温泉の案内所がある。その薄汚れたショーウィンドーの中には、大宴会場....