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「中へ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中への前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
このカッフェの外部。夫婦らしい中年の男女《なんにょ》が二人|硝子《ガラス》戸の
中へはいって行く。女はマントルを着た子供を抱《だ》いている。そのうちにカッフェは....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
口笛を吹いて、一匹の黒犬を呼び出しながら、
「この犬の名は飛べと言って、誰でも背
中へ乗ってさえすれば百里でも千里でも、空を飛んで行くことが出来る。明日《あした》....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
右にじょあんなおすみ、中央にじょあん孫七、左にまりやおぎんと云う順に、刑場のまん
中へ押し立てられた。おすみは連日の責苦《せめく》のため、急に年をとったように見え....
「女」より 著者:芥川竜之介
の一団は珍しそうに、幾重《いくえ》にも蜜の※《におい》を抱《いだ》いた薔薇の花の
中へまぐれこんだ。そうしてさらにまたある一団は、縦横に青空を裂《さ》いている薔薇....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
をまっ直《すぐ》に駈《か》け下《お》りる、――とうとうしまいには芋《いも》の穴の
中へ大男の半之丞を振り落したまま、どこかへ行ってしまいました。こう言う災難に遇《....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
《ひきて》へ手をかけると共に消えて、その代りに、早水藤左衛門の逞しい姿が、座敷の
中へはいって来なかったなら、良雄はいつまでも、快い春の日の暖さを、その誇らかな満....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
はじめる。もう五分、――いや、もう一分たちさえすれば、妙子は達雄の腕《かいな》の
中へ体を投げていたかも知れません。そこへ――ちょうどその曲の終りかかったところへ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
する。俺は大いに腹が立ったから、いきなり車夫を蹴飛《けと》ばしてやった。車夫の空
中へ飛び上《あが》ったことはフット・ボオルかと思うくらいである。俺は勿論|後悔《....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
等は弘法麦《こうぼうむぎ》の茂みを避《よ》け避け、(滴《しずく》をためた弘法麦の
中へうっかり足を踏み入れると、ふくら脛《はぎ》の痒《かゆ》くなるのに閉口したから....
「運」より 著者:芥川竜之介
せぬ。」
「ははあ、それから。」
「それから、とうとう八坂寺《やさかでら》の塔の
中へ、つれこまれて、その晩はそこですごしたそうでございます。――いや、その辺《へ....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
っても好《い》いな。」――そんな事を云い合う内に、我々はもう風中を先に、狭い店の
中へなだれこんでいた。
店の中には客が二人、細長い卓《たく》に向っていた。客の....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
を組んで、何か考えているようでしたが、やがて決心でもついたのか、さっさとその家の
中へはいって行きました。すると突然聞えて来たのは、婆さんの罵る声に交った、支那人....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
私は久しい前から机の抽斗を掃除しようと思っていたのだ。私は三十年来、同じ机の
中へ手紙も勘定書もごたごたに放り込んでいたからだ。抽斗の中が手のつけようもないほ....
「初雪」より 著者:秋田滋
かる焔にかざした。燃えあがっている火は顔を焦すほど熱かったが、氷のような風が、背
中へはいって来て、それが膚と着物との間を分け入ってゆくような気がした。彼女のから....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
、この宿りにては風呂へ入りしが棚へ脱ぎたる衣類の間には彼の三十円あれば、据風呂の
中へ入りながらも首を伸してこれを看守りたり。出立つ前に年寄の忠告にも、「旅は明日....