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中年増
「中年増〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中年増の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
か江戸へ帰る人たちで、土地の者は少ない。そのなかで半七の眼についたのは三十二三の
中年増で、藍鼠の頭巾に顔をつつんでいるが、浅黒い顔に薄化粧をして、ひと口にいえば....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、髪の毛のすこし薄いのを瑕にして、どこへ出しても先ず十人なみ以上には踏めそうな
中年増であった。半七からお駒の悔みを云われて、かれは涙をほろほろとこぼしながら挨....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
商人と見える中年の男が、ずッぷり床を背負って当たっていると、向い合いに、一人の、
中年増の女中がちょいと浮腰で、膝をついて、手さきだけ炬燵に入れて、少し仰向くよう....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
て威厳を生じて来たのを思い出させた。 まだ長襦袢がある。――大阪のある芸者――
中年増であった――がその色男を尋ねて上京し、行くえが分らないので、しばらく僕の家....
「あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
女将で、名前は福田きぬ、年は三十そこそこの、どう見たって玄人あがりのシャンとした
中年増なんです…… ところで、いよいよ証人の宣誓も済まして、証言にはいったんで....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
たろうと、踏んだのは惜い気がする。 「何だろう、ここの女中とは思うが、すばらしい
中年増だ。」 手を洗って、ガタン、トンと、土間穿の庭下駄を引摺る時、閉めて出た....
「古狢」より 著者:泉鏡花
縞お召、人懐く送って出て、しとやかな、情のある見送りをする。ちょうど、容子のいい
中年増が給仕に当って、確に外套氏がこれは体験した処である。ついでに岩魚の事を言お....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
腕を、部厚な釜の蓋にちょっと載せたが、丸髷をがっくりさした、色の白い、歯を染めた
中年増。この途端に颯と瞼を赤うしたが、竈の前を横ッちょに、かたかたと下駄の音で、....
「女客」より 著者:泉鏡花
っきり描き出された、上り口の半身は、雲の絶間の青柳見るよう、髪も容もすっきりした
中年増。 これはあるじの国許から、五ツになる男の児を伴うて、この度上京、しばら....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ろうか……お伽堂の店番を。 三 何、別に仔細はない。客引に使った
中年増でもなければ、手軽な妾が世間体を繕っているのでもない。お伽堂というのは、こ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
調子で言って、ほほと笑った。鉄漿を含んだ唇赤く、細面で鼻筋通った、引緊った顔立の
中年増。年紀は二十八九、三十でもあろう、白地の手拭を姉さん被にしたのに額は隠れて....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
人びとも証人に立っているのである。 さてあなたに、ヴィール夫人は三十歳ぐらいの
中年増のわりに、娘のような温和な婦人であったが、数年前に人と談話をしているうちに....
「最初の出品画」より 著者:上村松園
らしい感じを出そうと試みてあり、秋になると夏に描かれた娘よりはもう一つ年かさの、
中年増と言いますか、それくらいの年の女性が琵琶を弾じている図で、着物だとか、色彩....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
々と曳いて、青い衣服で脱出した円髷が乱れかかって、その癖、色白で、ふっくりとした
中年増が描いてあったが、さも旨そうに見えたのさ。」 「可厭な兄さん。」 「いや、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
た。艶ッぽい節廻しの身に沁み入るようなのに聞惚れて、為永の中本に出て来そうな仇な
中年増を想像しては能く噂をしていたが、或る時尋ねると、「時にアノ常磐津の本尊をと....