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中戸
「中戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
って、吸子の手酌で飲った処は、我ながら頼母しい。 ふと小用場を借りたくなった。
中戸を開けて、土間をずッと奥へ、という娘さんの指図に任せて、古くて大きいその
中戸....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
閉めておいて狭い通り庭をずっと奥へ進むと、茶の間と表の間との境になっている薄暗い
中戸のところに、そこまで客を送り出したものと見えて女がひとりで立っている。 そ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
すから――実はまだ、誰にも饒舌りません。――近い処が以前からお宅をひいきの里見、
中戸川さん、近頃では芥川さん。絵の方だと横山、安田氏などですか。私も知合ではあり....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
にはなつかない。この植民地のあたりに人家とてはないのだが、何処かに隠れていて、夏
中戸を開け放して一寸ゆだんして居るともう彼等の侵入によって必ず何等かの被害を受け....
「私は誰?」より 著者:坂口安吾
まで、かんべんしてくれないことが分りきっているからである。 牧野信一は真夜中に
中戸川吉二を叩き起して、
中戸川に絶交を申し渡されたことがあったが、私は真夜中に叩....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ダイヴィングの選手は短命でしょうな。長生きしねえだろうなア」 と云って、同行の
中戸川宗一がしきりに心痛していたが、なるほど、見物衆というものは、いろいろの見物....
「雁」より 著者:森鴎外
へ通勤する時、折々見たことのある女である。どぶ板のいつもこわれているあたりに、年
中戸が半分締めてある、薄暗い家があって、夜その前を通って見れば、簷下に車の附いた....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
った。薄暗い廊下に、もう二人の侍が立っていた。
「ついて参れ」
廊下の突当り、
中戸を突きあげると、履脱《くつぬぎ》に、庭下駄と、草履《ぞうり》とが並んでいた。....
「地上」より 著者:島田清次郎
の前に立ったときお光はいまさらのように全身がひきしまるのを覚えた。色硝子をはめた
中戸の内部には高価な下駄や足駄や雪駄の類が、裏返しになったり、横に転がったり、は....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
うかあッちへ……」 福介を土間の床几《ばんこ》に残して、見世庭《みせにわ》から
中戸《なかど》を通って奥座敷へ導かれてゆく。 檐《のき》には尾垂《おだれ》と竹....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
った。 細川家の家士で、近頃はあまり見えないが、一頃はよく講義を聞きに来ていた
中戸川範太夫であった。 「大先生の御病気はその後いかがでございますな。公務に追わ....