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「中段〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

中段の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
はいをさせた。 「お父さん。お母さんがちょいと、――」 今度は梯子《はしご》の中段から、お絹《きぬ》が忍びやかに声をかけた。 「今行くよ。」 「僕も起きます。....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
ふみかけた。 それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子《ようす》を....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
だんばしご》を下って行った。すると誰か後ろから「ああさん」と僕に声をかけた。僕は中段に足をとめながら、段梯子の上をふり返った。そこには来合せていた芸者が一人、じ....
或る女」より 著者:有島武郎
時にはそのさびしい坂道の上下から、立派な馬車や抱《かか》え車《ぐるま》が続々坂の中段を目ざして集まるのにあう事があった。坂の中段から紅葉館の下に当たる辺に導かれ....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
衛には解《げ》せぬ呪文を高らかに唱えながら、太刀を回して、切って掛った。甚兵衛は中段で受け止めたが、相手の腕の冴えていることはその一撃が十分に証明した。甚兵衛は....
光の中に」より 著者:金史良
恰も老人でも連れているように用心深そうに私の手を引きずって行くのだった。だが彼は中段まで下りて来ると急に立ち止って、私の体にぴったりよりついて私を見上げながら甘....
恐竜島」より 著者:海野十三
ようりょう》よく身軽に、しずかにするすると下りていった。 ラツールの倒れている中段の岩までは、上から測《はか》って十四五メートルあった。ダビットはついにそこへ....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
銃猟家のいいつけでお澄は茶漬の膳を調えに立った。 扉から雪次郎が密と覗くと、中段の処で、肱を硬直に、帯の下の腰を圧えて、片手をぐったりと壁に立って、倒れそう....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
点けて、 (お待遠でした、さあ、) って二階へ。吹矢の店から送って来た女はと、中段からちょっと見ると、両膝をずしりと、そこに居た奴の背後へ火鉢を離れて、俯向い....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
彩色の燈籠より、美しく寂しかろう、白露に雫をしそうな、その女の姿に供える気です。中段さ、ちょうど今居る。 しかるに、どうだい。お米坊は洒落にも私を、薄情だとい....
怪しの館」より 著者:国枝史郎
て行くようである。 「いよいよ来るか」 と旗二郎、建物の角へ背中をつけ、太刀を中段、堅固に構え、奥歯を噛みしめ呼吸をととのえ、一心に前方をすかして見た。 だ....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
余はあまりの恐ろしさに、一旦甲板上に現わせし首をすっこめ、昇降口の下、梯子の中段に小さくなっていたりしが、耳を澄ませば、船員の叫び声らしきは次第々々に低くな....
雪柳」より 著者:泉鏡花
子で、幇間の次郎庵が三つならんだ真中の厠で肝を消し、表大広間へ遁上る、その階子の中段で、やせた遊女が崩れた島田で、うつむけにさめざめ泣いているのを、小夜衣の怨霊....
周防石城山神籠石探検記」より 著者:喜田貞吉
のやや低くなった場所にあって、ここのは石垣が三段になっている。上段が高さ約三尺、中段と下段とが各約九尺。その上は平地をなして、もと大段坊という僧坊があったとの事....
情鬼」より 著者:大倉燁子
った。何んて奇麗な男だろう。 小田切大使の遺骨は黒い布に覆われて、ガラス戸棚の中段に安置されていた。その前には黒いリボンを結んだ小さな造花の花輪が供えてあった....