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「中老〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

中老の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
身構えをしていた。五十川女史のそばにすわって、神経質らしく眉《まゆ》をきらめかす中老の官吏は、射るようないまいましげな眼光を時々葉子に浴びせかけていたが、いたた....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
おかみさんの運んで来た渋茶を飲んでいると、古障子を開けて呉絽《ごろ》の羽織を着た中老の男が出て来て声をかけた。 「いよう、珍らしいところで逢った」 「や、作楽井....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。防空監視員と云っても、完全な男子は出征して国内には居なかったので、四十過ぎの中老組か、二十歳以下の少年か、さもなければ、血気盛んなる妙齢の婦人達であった。そ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
よそよと彼を吹いた。青葉の揮発性の匂いがした。ふと彼は湖畔の試験所に飼われてある中老美人のキャリコを新らしい飼手がうまく養っているかが気になった。 「あんな旧い....
河明り」より 著者:岡本かの子
送って呉れた。 シンガポール邦字雑誌社の社長で、南洋貿易の調査所を主宰している中老人が、白の詰襟服にヘルメットを冠って迎えに来て呉れた。朝、船へは紋付の和服で....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、一見心のどこかに抑止されているものでもあるかのような、ひどく陰鬱気な相貌をした中老紳士だった。そして、この三人は、まるで聖餐祭の行列みたいに、ノタリノタリと歩....
怪塔王」より 著者:海野十三
むけて寝ていたのである。帆村の目にうつったのは、赭茶けた毛と白髪とが交っている、中老人らしい後頭部を見ただけでありました。 叩きおこして、顔を見てやろうか。 ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
人をはじめ、いつもころがり込んでいる、なかまが二人、一人は検定試験を十年来落第の中老の才子で、近頃はただ一攫千金の投機を狙っています。一人は、今は小使を志願して....
百物語」より 著者:岡本綺堂
もおどろいて駈け付けた。 「や、これは島川どのだ。」 島川というのは、奥勤めの中老で、折りふしは殿のお夜伽にも召されるとかいう噂のある女であるから、人々は又お....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
危げのない芸の持主でした。ビングは、才気煥溌、天衣無縫の性情、おおいに珍重すべき中老嬢ですが、その容姿に至っては、甚だ香しくなく、それを補うのに衣裳考案の技術を....
壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
にいないかと、直芳は注意して見たけれど、どうしても見つからなかった。 従者頭の中老人(佐平という)に向って直芳はささやいた。 「今日まで絵にも見た事のない美し....
明暗」より 著者:岡本かの子
三木雄の父の遺した田舎の邸宅へ三木雄を訪れ、其処に後見やら家政婦やらを兼ねていた中老の叔母からもよくもてなされ、その叔母さんの淡泊な性質はむしろ好んで来たのであ....
」より 著者:犬田卯
と瘤の野郎に乗りこまれたのが癪で……位のところかも分らなかったのである。事実この中老助役は、葭簀張りの小学校舎をつくった時代にあっては瘤から頭ごなしにやられてい....
可愛い山」より 著者:石川欣一
過を忘れてしまったのである。Mさんは最初の登山というので元気がよかった。お役人は中老で、おまけに職を帯びて登山するのだから、大して元気がよくもなかった。慎太郎さ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
のBさん夫妻が並んでいる。私たちの隣室の客だ。Bさんは下り眉の濃い眼尻のたるんだ中老の恵美須顔だ。サイノロジイらしいなと誰かが噂した。妻君は桃いろのスカートで、....