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中音
「中音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
円座《わらふだ》の上に座をしめながら、式部の眼のさめるのを憚《はばか》るように、
中音《ちゅうおん》で静かに法華経を誦《ず》しはじめた。
これが、この男の日頃か....
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
度は冷やかで放心しているようだった。眼にはなんの表情もない。声はいつもは豊かな次
中音《テナー》なのが最高音になり、発音が落ちついていてはっきりしていなかったら、....
「海異記」より 著者:泉鏡花
」 とあとへ退り、 「いまに解きます繻子の帯……」 奴は聞き覚えの節になり、
中音でそそりながら、くるりと向うむきになったが早いか、ドウとしたたかな足踏して、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。忽然起こる不思議な笑い! はっなる。 陶器師は大上段。フフフフフフ、と陰性の
中音、絶えず笑いを響かせながら、分を盗み寸を奪い、ジリジリと爪先で寄って来る。 ....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
集まって申合せを行い、位取りや何かの叱正を受けている光景を見た。朔造氏が山本氏の
中音の地謡を自身に張扇であしらって見せて、「ここの掛声をこういう風に一段と引っ立....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
トリオ》を取ってみる。これでも芭蕉のは活殺自由のヴァイオリンの感じがあり、凡兆は
中音域を往来するセロ、去来にはどこか理知的常識的なピアノの趣がなくはない。 し....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
やぼならこうした うきめはせまじ、 と無間の鐘のめりやすを、どこで聞きかじってか
中音に唸り出す。 (明治三十年十月)....
「可愛い女」より 著者:神西清
た男で、黄色い顔をして、ちょっぴりしたもみ上げの毛をきれいになでつけて、幅のない
中音で話をして、ものを言うとき口を曲げるのが癖だった。彼の顔はいつ見ても絶望の色....
「人造物語」より 著者:海野十三
っている。例のテレボックスの長兄のごときは、英語で命令しても駄目であって、高音、
中音、低音から成る符号のようなものを、こちらから叫んでやると、初めて働くのである....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ハ杏園ニ啼キ、寥々タル一犬ハ桃源ニ吠ユ――」 自分はその時劉長卿の詩を何気なく
中音に吟じながら奥へ奥へと歩いて行った。そういえばほんとに花園の中で鶯が寝とぼけ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
四ツにたたまれたり、横ッチョへ片づけられたりするだけだった。そこでオカカは年百年
中音をあげているのであるが、誰も同情しない。アネサの怪力を見こんでヨメにもらった....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
はは、今日ア。」と、けろりと天井を仰いだが、陶然として酔える顔色、フフンといって
中音になり、 「――九は病五七の雨に四ツひでりサ――」 襖も畳も天井も黄昏の色....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
土足でよ、足、足ですよ、失礼じゃねえか、何、何だな、誰、誰だな。」 障子の外で
中音に、 「放火よ。」 「や!」 蒼くなって、咽喉で、ムウと呼吸を詰め、 「愛....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ゝつぶやく。)
ファウスト
何を言っているの。
マルガレエテ(
中音にて。)
お好。お嫌。
ファウスト
可哀い顔をしてい....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
る。ある恐るべき事が目前に行われているのが知れる。 「待て。」横の方から誰やらが
中音で声を掛けた。 広間の隅の、小さい衝立のようなものの背後で、何物かが動く。....