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丹沢
「丹沢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
丹沢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:梶井基次郎
富士がよく見えたのも立春までであった。午前は雪に被《おお》われ陽に輝いた姿が
丹沢山の上に見えていた。夕方になって陽がかなたへ傾くと、富士も
丹沢山も一様の影絵....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
に西の方を見渡すと、昨夜の風が砥《と》ぎ澄まして行った、碧く冴えた虚空の下には、
丹沢山脈の大山一帯が、平屋根の家並のように、びったり凍《かじ》かんで一と塊に圧し....
「新生」より 著者:島崎藤村
萎《な》えた。その八日の朝初氷が張った。二十二日以後は完全な冬季の状態に移って、
丹沢山塊から秩父《ちちぶ》連山にかけて雪の色を見る日が多くなった。風がまたひどく....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
草履や笠を買わせた。 三 あくる朝、半七は八丁堀同心の屋敷へ行って、
丹沢五郎治をたずねた。
丹沢は去年の団子坂一件に立ち会った関係があるので、その異人....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で行ったんですから、こいつは何とかして探し出さなければなりません。 八丁堀同心
丹沢五郎治という人の屋敷へ呼ばれて、半七御苦労だが働いてくれという命令です。まあ....
「春六題」より 著者:寺田寅彦
や伊豆の連山の上にかかった雲を一つ一つ指摘する事ができた。箱根の峠を越した後再び
丹沢山大山の影響で吹き上がる風はねずみ色の厚みのある雲をかもしてそれが旗のように....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と陣馬《じんば》ヶ原《はら》の山々は、半ば雲霧に蔽《おお》われ、道志《どうし》、
丹沢《たんざわ》の山々の峰と谷は、はっきりと見えて、洞然《どうぜん》たるパノラマ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 「何をしでかすかわからない」 「あれ、富士山が――大群山《おおむれやま》が、
丹沢山が、蛭《ひる》ヶ峰《みね》が、塔ヶ岳が、相模の大山《おおやま》――あれで山....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
以来、幾度もこの道を往来したと見えて、あの時の天狗物語も口の端《は》には上らず、
丹沢山塊の方面で怪しい火の見えたことも、濃霧に襲われたことも、時効にかかっている....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なく米友は、代々木の原を立ち出でました。林のはずれを見ると、天気がいいものだから
丹沢や秩父あたりの山々が見えるし、富士の山は、くっきり姿をあらわしていました。米....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
景信《かげのぶ》があり、小仏があり、高尾がある。 いったん脈が切れて、そうして
丹沢山塊が起る。蛭《ひる》ヶ岳《たけ》があり、塔ヶ岳があって、それからまたいった....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
★ ところが更に奇怪なことが起った。 下曾我からかなり離れているが、
丹沢山の山中へ深くはいったスリバチ型の谷に非常に良質のヒノキが自生しているところ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
伊勢湾を通過。つまり伊東上空をとんでいたのは旅客機だったことが判った。思うに昨春
丹沢山遭難以来、航路が変ったのであろう。 怪物の待ち伏せるものなく、我らをもっ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
《ぎんぶち》の古風な眼鏡をかけた瘠せた男は、見かえりもせずに、しめった声で、 「
丹沢《たんざわ》の奥へ」 と、こたえた。 キャラコさんには、この一行がどんな....
「山道」より 著者:中里介山
たそれらが生憎《あいにく》漠々たる春靄に包まれて些とも姿を見せない位だから富士も
丹沢山塊も奥秩父も多摩相模の分水方面も模糊として眠るが如き夢の幕に包まれている。....