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丹精
「丹精〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
丹精の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
こんな事を話して聞かせました。「この朝顔はね、あの婆の家にいた時から、お敏さんが
丹精《たんせい》した鉢植なんだ。ところがあの雨の日に咲いた瑠璃色《るりいろ》の花....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ったのは、お蔦のこれを結った、髪結のお増であった。芸妓島田は名誉の婦が、いかに、
丹精をぬきんでたろう。 上らぬ枕を取交えた、括蒲団に一が沈んで、後毛の乱れさえ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
今日は刈り上げになる日であったのだが、朝から非常な雨だ。野の仕事は無論できない。
丹精一心の兄夫婦も、今朝はいくらかゆっくりしたらしく、雨戸のあけかたが常のように....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
事はできんけれど、おれも村の奴らに欲が深い深いといわれたが、そのお蔭で五、六年|
丹精の結果が千五百円ばかりできてる。これをお前にやる分にゃ先祖の財産へ手を付けん....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ゅ、泡ほどの砂の沫を被って転がって遁げる時、口惜しさに、奴の穿いた、奢った長靴、
丹精に磨いた自慢の向脛へ、この唾をかッと吐掛けたれば、この一呪詛によって、あの、....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
すりつつ撫子を見る)さて、ついでに私の意気になった処を見され、御同行の婆々どのの
丹精じゃ。その婆々どのから、くれぐれも、よろしゅうとな。いやしからば。 村越 (....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
腐だの、女の道を知らないのと、世間でいろんなことをいうよ。 折角お祖父さんが御
丹精で、人並に育ったものを、ただで我ものにしてしまって、誰も難有がりもしないじゃ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
し、内のは大抵|皆小六さんに仕込まれた女だもの、座をこれまでにしたのは皆あの女の
丹精じゃあないか。寝さしておいて、謡を教えさしたッて一廉の役には立つのに、お金子....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
じに朝霧がかかったという工合でいて、何となく高峰の花という感じがしたのに、賢君の
丹精で、机の上に活かったのは感謝する。 早く行って拝見しよう、……が、また誰か....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
二|本歓んでさしあげます……。』 『果実を採られる気持も同じですか?』 『私達が
丹精して作ったものが、少しでも人間のお役に立つと思えば、却ってうれしうございます....
「錦紗」より 著者:犬田卯
外聞もかまっていなかった。町へ豚売りに行く兄貴の曳く荷車のあとを押したり、母親が
丹精している鶏の卵を半数だけ貰うことにきめてその餌を調達したり、朝鮮人の屑屋に親....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、おみだしに預りました御註文……別して東京へお持ちになります事で、なりたけ、丹、
丹精を抽んでまして。」 と吃って言う。 「あなた、仏様に御
丹精は、それは実に結....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
之助。その他、俳友知縁が挙ったのです。可心法師の大願によって、当時、北国の名工が
丹精をぬきんでた、それが明神の神像でした。美しい人の面影です。―― 村へ、はじ....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
御新造さんはとうに亡くなって、子一人、お老母さん一人の男やもめ――そのお媼さんが
丹精の継はぎの膝掛を刎ねて、お出迎え、という隙もありゃしますまい。古火鉢と、大き....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
、母はどこかで聞いたとみえ畑仕事から帰ると目から火の出るほどしかられた。母として
丹精して育てたわが子の無謀が許せなかったのだろうが、私は恐れをなして外に逃げ、後....