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「丹色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丹色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手袋を買いに」より 著者:新美南吉
、 「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする」と言って、濡《ぬ》れて牡丹色《ぼたんいろ》になった両手を母さん狐の前にさしだしました。母さん狐は、その手....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
著述を発表しているので知られているが、もはや七十に垂んとする老人だった。無髯で赭丹色をした顔には、顴骨突起と下顎骨が異常に発達している代りに、鼻翼の周囲が陥ち窪....
斜陽」より 著者:太宰治
かけてそのままにしていたセエタを、また編みつづけてみる気になったのである。淡い牡丹色のぼやけたような毛糸で、私はそれに、コバルトブルウの糸を足して、セエタにする....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
* 震災の火事の焼け跡の煙がまだ消えやらぬころ、黒焦げになった樹の幹に鉛丹色のかびのようなものが生え始めて、それが驚くべき速度で繁殖した。 樹という樹....
足迹」より 著者:徳田秋声
湯に入ってから、茶の間の次で雑誌を見たり、小説を読んだりした。湯に入っていると牡丹色の仕扱を、手の届かぬところへ隠されなどして、お庄は帯取り裸のまま電燈の下に縮....
春昼」より 著者:泉鏡花
ると――甕で。 蓋が打欠けていたそうでございますが、其処からもどろどろと、その丹色に底澄んで光のある粘土ようのものが充満。 別に何んにもありませんので、親仁....
泣虫小僧」より 著者:林芙美子
ていると叔父さんに叱られるよ」 啓吉はまた首を縮めた。 階下では、菅子が、牡丹色《ぼたんいろ》のジャケツに黒のジャアジイのスカートをはいて、横坐りになったま....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
を浮き出させて其の下にいる客をいかにも涼しそうに楽しく見せる。他の店の黄色或いは丹色の日覆いも旗の色と共に眼に効果を現わして来た。包囲した鬨の声のような喧騒に混....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ら買ったらしく高価なアメリカ製であったが、底を右にまわすと、びっくりするような牡丹色があらわれた。私は思わずふき出すと同時に、軽い失望を感じた。この色は、自分の....
魔都」より 著者:久生十蘭
った風が吹き込んでいる。床の上には二尺ほどの高さの踏台が一つ。その傍に婦人用の牡丹色の繻子のスリッパが、一つは伏し一つは仰向いて葩《はなびら》のように美しく散っ....
海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
を食うのは、はじめてである。まず、これに箸をつけて口へ持っていった。肉の艶は緋牡丹色で牛肉の霜降りのように脂肪の層が薄く出ている。それを噛むと牛肉のような硬さが....
鯛釣り素人咄」より 著者:佐藤垢石
あるため、随分特志家でないと、寒鯛釣りを志す人は少ない。 だが、釣った鯛は緋牡丹色の鱗に、金色|燦然たる艶が光っている大ものだ。釣趣に魅力が伴って、一度この釣....
鯛と赤蛸」より 著者:佐藤垢石
っていた。私は、七、八貫目のものを一尾買い求めた。その鯛は、湾内に居付きの、緋牡丹色した鱗光鮮やかなものではなかった。産卵のために外洋から、この湾内へ乗っ込んで....
植物知識」より 著者:牧野富太郎
華麗《かれい》に驚嘆《きょうたん》を禁じ得ない。 牡丹《ぼたん》に対し中国人は丹色《たんしょく》の花、すなわち赤色《せきしょく》のものを上乗《じょうじょう》と....
円朝花火」より 著者:正岡容
尻を端折ると、最前の新聞紙をバサバサ開いた。――なかには、たくさんの線香花火が牡丹色と黄色と紫と朱でだんだらに絞られた細身の軸を横たえていた。 素早くその一本....