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「丹花〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丹花の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旧主人」より 著者:島崎藤村
のり桜色に見える御様子の艶《あでや》かさ、南向に立廻した銀|屏風《びょうぶ》の牡丹花《ぼたん》の絵を後になすって、御物語をなさる有様は、言葉にも尽せません。伏目....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
を着、長太刀をはいて、「静」を舞った。年の頃は二十二三、豊満爛熟の年増盛りで、牡丹花のように妖艶であった。 「可いな」と宗春は心の中で云った。「俺の持物にしてや....
風流仏」より 著者:幸田露伴
仕業ぞ、酷らしき縄からげ、後の柱のそげ多きに手荒く縛し付け、薄汚なき手拭無遠慮に丹花の唇を掩いし心無さ、元結空にはじけて涙の雨の玉を貫く柳の髪|恨は長く垂れて顔....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
おなじ袋の緒をしめて、守刀と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱を含んで、涼しく、気高く、歌口を―― 木菟が、ぽう、と鳴く....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「うむ、うむ」 「角が二本……雪の膚《はだえ》にはみるみる鱗《うろこ》が生えて、丹花《たんか》の唇は耳まで裂けた」 「鬼になった、蛇になった」 「角が生えた、毛....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
るようであった。 階の下に立って、仰ぐと、典雅温優なる弁財天の金字に縁して、牡丹花の額がかかる。……いかにや、年ふる雨露に、彩色のかすかになったのが、木地の胡....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
。巨匠が鑿を施した、青銅の獅子の俤あり。その美しき花の衣は、彼が威霊を称えたる牡丹花の飾に似て、根に寄る潮の玉を砕くは、日に黄金、月に白銀、あるいは怒り、あるい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
澄んで、うら悲しく、 雲横秦嶺家何在 雪擁藍関馬不前 と、韓湘が道術をもって牡丹花の中に金字で顕したという、一|聯の句を口吟む若山の声が聞えて止んだ。 お雪....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ような言いぶりで、 「はあ、人面瘡、成程、その面が天人のように美しい。芙蓉の眦、丹花の唇――でござったかな、……といたして見ると……お待ちなさい、愛着の念が起っ....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
養母が睨《にら》んでいる。そして何よりも――眠れる獅子王《ししおう》の傍に咲く牡丹花《ぼたんか》のような容顔、春風になぶられてうごく雄獅子の髭《ひげ》に戯むれ遊....
紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
った。 若衆は手弱女の頤の辺へ片手を掛けて顔を持ち上げ月の光につくづくと見た。丹花の唇、芙蓉の眉、まことに古い形容ではあるが、この手弱女には似つかわしい。下髪....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
のではなく、日の光|射す紫のかげを籠めた俤は、几帳に宿る月の影、雲の鬢、簪の星、丹花の唇、芙蓉の眦、柳の腰を草に縋って、鼓草の花に浮べる状、虚空にかかった装であ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ってからも長く皇族・公家の間に伝授が行われたのである。 民間では宗祇の門人|牡丹花肖柏に伝えたのが堺伝授、肖柏から林宗二に伝えたのが奈良伝授、当時奈良は旧都、....
牡丹灯籠 牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
、門口にたたずんでいると、二十ばかりと見える美人が十四五ばかりの女の童に美しき牡丹花の燈籠を持たして来たので、魂飛び心浮かれて後になり前になりして跟いて往くと、....
雪の障子」より 著者:島崎藤村
一つとして今日まで残り伝えられているというのも、雪中の動きからだ。眼に入る冬の牡丹花に千鳥の啼き声をききつけ、寒苦の思いを雪のほととぎすにまで持って行った古人の....