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「丹頂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丹頂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
見よう。 「ある時|石川郡《いしかわごおり》市川《いちかわ》村の青田《あおた》へ丹頂《たんちょう》の鶴|群《む》れ下《くだ》れるよし、御鳥見役《おとりみやく》よ....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
らいな抽斗を開けると、中が紅いのも美しい。一双の屏風の絵は、むら消えの雪の小松に丹頂の鶴、雛鶴。一つは曲水の群青に桃の盃、絵雪洞、桃のような灯を点す。……ちょっ....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
姿を見せて居たのが、今は素立ちのたった一羽、梅花を渡るうすら冷たい夕風に色褪せた丹頂の毛をそよがせ蒼冥として昏れる前面の山々を淋しげに見上げて居る。私は果無げな....
牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
に小さな草庵があって、一人の老人が几によりかかって坐っていた。草庵の前には童子が丹頂の鶴の世話をしていた。人びとは老人の前へ行って拝をした。 「わしは、こんな処....
田舎教師」より 著者:田山花袋
のをかれは覚えている。「せめて動物園でも見て行こう」と思ってかれは身を起こした。丹頂の鶴、たえず鼻を巻く大きな象、遠い国から来たカンガルウ、駱駝だの驢馬だの鹿だ....
中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」より 著者:宮本百合子
、二十歳ばかりの私も伴われた。郵船の伏見丸。左側に献立を印刷し、右手に松と二羽の丹頂鶴の絵を出した封緘にこのたよりはかかれている。裏の航路図に、インクであらまし....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
めぐって桜の老樹が、花を渦高く咲かせており、その下を将軍家より頂戴したところの、丹頂の鶴が徘徊している――そういう中庭の風景を、脇息に倚って眺めていた田安中納言....
西林図」より 著者:久生十蘭
「ツル菜鍋とは変ってるね」 「ツル菜じゃない、鶴……それも、狩野流のリウとした丹頂の鶴です。鶴は千年にして黒、三千年にして白鶴といいますが、白く抜けきらないと....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
お上がかねてお手飼いなされ、ことのほか御寵愛なされた『瑞陽《ずいよう》』ともうす丹頂の鶴。……いかなる次第か、この夏ほどよりおいおい衰弱いたすので、小松川の御飼....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
て、しばらくしばらくと喰いとめ、 「それでは御謙遜にすぎましょう。……このほどの丹頂のお鶴の件、また堺屋の騒動。隠微夢中《いんびむちゅう》のなかから真相を摘抉《....
酒渇記」より 著者:佐藤垢石
席に、宮島盃(一升入り)、万寿無彊盃(一升五合入り)、緑毛亀盃(二升五合入り)、丹頂鶴盃(三升入り)をならべ、干肴は台にからすみ、花塩、さざれ梅、また、別の台に....
余齢初旅」より 著者:上村松園
れまた非常によいもので、沢があって大きな鳥がおりて来たなと思ってみるとそれは何と丹頂の鶴であった。それに見入っていると、いまにも白髪の老人が童子に琴でも持たして....
中支遊記」より 著者:上村松園
息をのむ。 遠景の山には平山堂、観音堂などの堂がある。田圃には翼を悠々とうって丹頂の鶴が舞っている。澄み透るような静かな陽射し、このさまをみては武陵桃源という....
動物園の一夜」より 著者:平林初之輔
ば》いになって、橋の袂《たもと》の道を横ぎった。 この橋の下手の左側に、二羽の丹頂《たんちょう》の棲んでいる鉄柵でこしらえた、円形《まるがた》の檻があり、檻の....
牡丹灯籠 牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
に小さな草庵があって、一人の老人が几によっかかって坐っていた。草庵の前には童子が丹頂の鶴を世話していた。人びとは老人の前へ往って礼拝をした。 「わしは、こんな処....