久闊[語句情報] » 久闊

「久闊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

久闊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
りよく私の友だちに似ているので、あの似顔絵《にがおえ》の前に立った時は、ほとんど久闊《きゅうかつ》を叙《じょ》したいくらい、半ば気味の悪い懐しささえ感じました。....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
、毛利先生に対する温情が意識の表面へ浮んで来た。一そ自分もあすこへ行って、先生と久闊《きゅうかつ》を叙し合おうか。が、多分先生は、たった一学期の短い間、教室だけ....
山月記」より 著者:中島敦
李徴である」と。 袁※は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐《なつ》かしげに久闊《きゅうかつ》を叙した。そして、何故《なぜ》叢から出て来ないのかと問うた。李....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ころで、縁談の事に就いて、とこう謂うつもりでなく、また言われる筋でもなかったが、久闊振ではあり、誰方も留守と云うのに気抜けがする。今度来た玄関の書生は馴染が薄い....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
ついでなので、須崎町|弘福寺にある先考の墓に詣でた。さて住職|奥田墨汁師を訪って久闊を叙した。対談の間に、わたくしが嶺松寺と池田氏の墓との事を語ると、墨汁師は意....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
来週又来ます。ここへは、何人かの子供づれの友達たちが皆ゆくので、お久さんは計らず久闊を叙すのよ。面白いでしょう? そして、うちは赤坊だらけになるの。その娘のため....
青春論」より 著者:坂口安吾
、その別れにサヨナラも言わぬ。いつもただ首を上げてチョット顔をみるだけで、それが久闊の挨拶であり、別離の辞である。空虚な人間の挨拶などは、喋る気がしなくなってい....
失われた半身」より 著者:豊島与志雄
いうことははっきり分っていたのである。だから実は、彼に敬意を表する気持ちよりも、久闊を叙する気持ちから、ウイスキーをふるまってやったものらしい。 おれの気附薬....
母の上京」より 著者:坂口安吾
である。痛さも痛いが、これはちやうど都合のよろしい姿勢であると、ついでに心の中で久闊をのべた。かうして、彼はともかく重なる親不孝を自然に詫びることができたのである。....
裏切り」より 著者:坂口安吾
た。 買い物の途中、セラダを呼びとめたのは法本です。腹心も一人いました。彼らは久闊を叙し、一しょにセラダの車にのりました。セラダの宿へ行くためにです。セラダは....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ていた牧光弘という鋳物師があって、久方ぶり私の仕事をしている処へ訪ねて来られた。久闊を舒し、いろいろ話の中に、牧氏のいうには、 「高村さん、あなたに大変こがれて....
犠牲者」より 著者:平林初之輔
の前に端座して、来客を待っていた。 「浅野という男が死んだね」 瀬川は一わたり久闊《きゅうかつ》の挨拶がすんでから、急に話頭を転換して言った。私には浅野という....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
音信を絶していたが、丁度その頃より少し以前、逍遥と二葉亭とは偶然私の家で邂逅して久闊を叙し、それから再び往来するようになっていた。その頃『早稲田文学』を根城とし....
正義」より 著者:浜尾四郎
、思いがけなく、今は旧友と名づけられる清川純の訪問を受けたのであった。 清川は久闊を叙すると、いきなり今日自分が法律家として出た公判廷の模様について話し出した....
三国志」より 著者:吉川英治
と、馬上に慇懃、礼をして、 「――まことに、思いがけない所で会うものかな。本来、久闊の情も叙ぶべきなれど、主君玄徳の命をうけて、今日、これにて丞相を待ちうけたる....