»
乏
「乏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
った。彼は歌や発句が作れないとは思っていない。だからもちろんその方面の理解にも、
乏しくないという自信がある。が、彼はそういう種類の芸術には、昔から一種の軽蔑を持....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
の楊柳観音《ようりゅうかんのん》を偸《ぬす》み見ながら、やはり抑揚《よくよう》に
乏しい陰気な調子で、とぎれ勝ちにこう話し始めた。
―――――――....
「影」より 著者:芥川竜之介
に悲しかったか、それは彼自身にもはっきりしない。ただそこに佇《たたず》んだまま、
乏《とぼ》しい虫の音《ね》に聞き入っていると、自然と涙が彼の頬へ、冷やかに流れ始....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
れがち》な空を遮っていたから、比較的｜町中《まちなか》らしくない、閑静な眺めには
乏しくなかった。が、それだけにまた旦那《だんな》が来ない夜《よ》なぞは寂し過ぎる....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
《ひた》した筆を受け取って、二三度母の口をしめした。母は筆に舌を搦《から》んで、
乏しい水を吸うようにした。
「じゃまた上りますからね、御心配な事はちっともありま....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
書いたダニエル・ノオトハフトとを一丸《いちがん》にしたような天才です。が、まだ貧
乏だったり何かするために誰にも認められていないのですがね。これは僕の友人の音楽家....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ぎんぐさり》を、物々しくぶらさげている。が、この服装のみすぼらしいのは、決して貧
乏でそうしているのではないらしい。その証拠には襟でもシャツの袖口でも、皆新しい白....
「運」より 著者:芥川竜之介
ごく》辺の知人《しりびと》の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧
乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
直覚出来る点に存していると思う。これは何でもない事のようだが、存外今の批評家に欠
乏している強味なのだ。 最後に創作家としての江口は、大体として人間的興味を中心....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
や利いた風の贅沢をせざる事。 九、容貌風采共卑しからざる事。 十、精進の志に
乏しからざる事。大作をやる気になったり、読み切りそうもない本を買ったりする如き。....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
。云う心はメリメよりも、一つ一つの作品に渾成の趣を与えなかった、或は与える才能に
乏しかった、と云う事実を指したのであろう。この意味では菊池寛も、文壇の二三子と比....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
が何と答えるか、私にはもうちゃんとわかっているのだ。私はそんなにまで彼らの変化に
乏しい思考のかたっていなければならないのだ。同じ観念、同じ悦び、同じ諧謔、同じ習....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
いう世間には余り多くない名前であった。父のジェームスは鍛冶職人で、身体も弱く、貧
乏であったので、子供達には早くからそれぞれ自活の道を立てさせた。 ヤコブス・ウェ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
強い日に彼が丘の背を大股で歩き、洋服をばくばくと風になびかせてゆくのを見ると、貧
乏神が地上におりてきたのか、あるいは、どこかの案山子が玉蜀黍の畑から逃げだしてき....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
がら帰りました。 これまで太郎右衛門の家はただ正直だというだけで、村では一番貧
乏で、一番馬鹿にされて暮した家でしたが、子供を拾ってからは大変｜賑やかな幸福な家....