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乗す
「乗す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乗すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「船医の立場」より 著者:菊池寛
船に近づこうとしたけれども、それも毎船|与力《よりき》が乗り込んで行くために、便
乗する機会はなかった。 八日の日には、メリケン人が横浜村へ上陸したときいたので....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ン一個《ひとつ》につめ込み民子とお増に送られて矢切の渡へ降りた。村の者の荷船に便
乗する訣でもう船は来て居る。僕は民さんそれじゃ……と言うつもりでも咽《のど》がつ....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
とう》万里の層氷を建て連らねたる如く豁《ほがら》かになる。頭を蔽う天もなく、足を
乗する地もなく冷瓏《れいろう》虚無の真中《まなか》に一人立つ。 「君は今いずくに....
「十五年間」より 著者:太宰治
すべて私には、れいのサロン思想のにおいがしてならない。何食わぬ顔をして、これに便
乗すれば、私も或いは「成功者」になれるのかも知れないが、田舎者の私にはてれくさく....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
に指名したりなどしたのだろう。ぎょっとした。立って行って、黒板に書いた。両辺を二
乗すれば、わけがないのだ。答は0だ。答、0、と書いたが、若し間違っていたら、また....
「時事雑感」より 著者:寺田寅彦
る確率も均等であると仮定すれば、三度続けて金曜日に起こるという確率は七分の一の三
乗すなわち三百四十三分の一である。しかしこれはまた、木曜が三度来る確率とも同じで....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
今回の壮挙のエピソードといたしまして、最初金博士は、この大発明兵器深海歩行器に搭
乗する決死隊を、イギリス軍隊の中に求めましたが、何分にも赫々たるドイツ軍の戦績と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と。
まあ、ここにいて生活を共にする者の全部と、工事を助ける者の一部分とは、同
乗することになっているが、指を折ってみると、
第一、自分というもの、次に、金椎....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
るつもりだ」 「来月の半ばに下田を出る仏蘭西《フランス》の船があるから、それに便
乗することに頼んでおいた、それでこの通り頭もこしらえてしまっている」 「一人で行....
「ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
ないということだ。当然の要求もできないというのも良くないことだし、ストを武器に便
乗するというのもよろしくない。 大切なことは、主観的ではいかぬ、自分の立場を客....
「取舵」より 著者:泉鏡花
上 「こりゃどうも厄介だねえ。」 観音丸の船員は累々しき盲翁の手を執りて、艀より本船に扶
乗する時、かくは呟きぬ。 この「厄介」とともに送られたる五七人の乗客を載了りて....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ラット三百円というのが相場ですが、このくらいの大きな貴石になると、カラット数を二
乗することになっていますから、三百の二乗で九万カラット。……三、九、二十七の二千....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
の投げ合いをしようという仕組み。さるにても花馬車には、欧米に名だたる美形佳人が搭
乗するのが古来の法式ゆえ、ふらんす・あるまん・あんぐれい、秀才・豚児の嫌いなく、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
その齢七十七歳にして、老後の保養のために日本に東遊し、帰国の途に就きたるものと同
乗す。その勇気には驚けり。わが婦人の遠く及ぶところにあらず。 十一日、晴れ、か....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の伝馬などは二隻と用意されてあるはずもなかった。だから一組二十人として十五回に分
乗することとなった。一同が上陸しおわるまでに半日はかかる。と、それぞれの見物の時....