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乗出す
「乗出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乗出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、屈んで、板へ敷く半纏の裙を掻取り、膝に挟んだ下交の褄を内端に、障子腰から肩を
乗出すようにして、つい目の前の、下水の溜りに目を着けた。 もとより、溝板の蓋が....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
るらしい。」 と円い腕を、欄干が挫げそうにのッしと支いて、魯智深の腹がたぶりと
乗出す…… 「どこだ、どれ、」 と向返る子爵の頭へ、さそくに、ずずんと身を返し....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
れる。すると操縦室にいた井上順三が、何事ならんと驚いて、操縦室の横窓から、半身を
乗出す様にして覗き込む。と、そうだ。恰度その時を狙って、反対側の框に蹲っていた犯....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
うても、旱に枯れた、岩の裂目とより見えませぬが、」 姥は腰を掛けたまま。さて、
乗出すほどの距離でもなかった―― 「直きその、向う手を分け上りますのが、山一ツ秋....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
りと引込む。――はてな、行燈が、かがみに化ける……と松崎は地の凸凹する蹈台の腰を
乗出す。 同じ思いか、面影も映しそうに、美しい女は凝と視た。ひとり紳士は気の無....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
その袂から、抜いて取ったのが、右の蝋燭でございます。」 「へい、」と欣八は這身に
乗出す。 「が、その美人。で、玉で刻んだ独鈷か何ぞ、尊いものを持ったように見えま....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
。 「しっかりしっかり、今度は大丈夫。あ、また辷った。大事な処で。」と男衆は胸を
乗出す。 汀のお珊は、褄をすらりと足をちょいと踏替えた。奴島田は、洋傘を畳んで....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
かも節なしはありがたかった。やがて静の前に逢わせたいよ。」 「静といえば。」 「
乗出すなよ。こいつ、昨夜の遊女か。」 「そんなものは名も知らない。てんで顔を見せ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
くなった。 手を伸ばすか、どうにかすれば、水差に水はある筈、と思いながら、枕を
乗出すさえ億劫で、我ながら随意にならぬ。 ちょうど、この折だったが、びしょびし....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
まし。) と先へ廻って、こう覗き込むようにして褥を直した。四畳半で、腰を曲げて
乗出すと、縁越に手が届くんですね。 (ともかく御免を、) 高縁へ腰を蹂って、爪....
「山吹」より 著者:泉鏡花
人の小姑の横ぞっぽうを、ぴしゃりと一つお打ちなさい。」と…… 人形使 (じりじり
乗出す)そこだそこだ、その事だ。 画家 ははは、痛快ですな。しかし穏でない。 夫....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
れこれこう、こういう浴衣と葛籠の底から取出すと、まあ姉さんと進むる膝、灯とともに
乗出す膝を、突合した上へ乗せ合って、その時はこういう風、仏におなりの前だから、優....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
節、一欠片。大根おろしも薄黒い。 が、「今に見たまえ、明日にも大船で一艘台湾へ
乗出すよ。」で、すぐにその晩、近所の寄席の色ものへ連出して、中入の茶を飲んで、切....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ちんと前に置いて、酒の勢で脱いでいたから、着流しのそげ腰で、見すぼらしく、土間に
乗出すばかり手をついて、お辞儀をしている。 提灯は吹さらす風とともに、しきりに....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
物するような心持でいた。 『浮雲』以後は暫らく韜晦して文壇との交渉を絶ち、文壇へ
乗出す初めに提携した坪内博士とすら遠ざかっていた。が、再びポツポツ翻訳を初めてか....