乗合い[語句情報] » 乗合い

「乗合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乗合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
うに、月だか太陽だか判然しない、妙に赤光《あかびかり》のする球《たま》があった。乗合いの連中はどうした訳か、皆影の中に坐ったまま、一人も口を開くものがない。お蓮....
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
りして、ついに五大堂|瑞岩寺《ずいがんじ》渡月橋《とげつきょう》等うちめぐりぬ。乗合い船にのらんとするに、あやにくに客一人もなし。ぜひなく財布《さいふ》のそこを....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
の見本を市会議員が下検分したのが十月の上旬であったと記憶する。 以上述べた私立乗合いと円太郎自動車は、東京市内の主として下町の目抜の通りにそれぞれ停留場を作っ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
したみ》に行った。その帰りの船が次郎兵衛と一緒であったので、互いに心安くなった。乗合いは田舎道者《いなかどうじゃ》や旅商人《たびあきんど》、そのなかで年も若く、....
婦系図」より 著者:泉鏡花
見ると同時に、明かにその両眼を※いた瞳には、一点も睡そうな曇が無い。 惟うに、乗合いの蔭ではあったが、礼之進に目を着けられて、例の(ますます御翻訳で。)を前置....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
き揚げたのは、築地|河岸の船宿|山石の船で、その船頭は清次という若い者であった。乗合いは男五人と女ひとりで、船には酒肴をたくさん積み込んで、潮干狩は名ばかりで、....
妖術」より 著者:泉鏡花
四辺の人に見らるるのを憚ったか。……しかし、実はどちらでもなかった、と渠は云う。乗合いは随分|立籠んだが、どこかに、空席は、と思う目が、まず何より前に映ったのは....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
色も見渡して行けるし、三四年間居ない留守中に、がらりと変った日本の男女の風俗も、乗合い客によって、手近かに観察出来るし、一ばん嬉しいのは、何と云っても、黒い瞳の....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
がら、みんな声さえも立てないで、静かに救い出される日を待っているのかも知れない。乗合いの人たちも黙っている。わたしも黙っている。案内者はもう馴れ切ったような口調....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
った。 それとはまたすこし違った意味で、平助じいさんは彼の死を怪しんだ。ほかの乗合いがみんな救われた中で、野村彦右衛門という盲目の侍だけがどうして溺れ死んだか....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
さりと無断で失敬して行っちまおうか? その方が面白れえや! と、この二ツの間を、乗合いみたいに往復した。彼は、このブラ/\する自分の感情を噛みしめるのが愉快だっ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
濠《ほり》や植物園などに沿っている古い狭い街路は、駅馬車や辻馬車《つじばしゃ》や乗合い馬車などの群れが毎日三、四回激しく往来するために震え動き、いつしか両側の人....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
汽車が開通するようになっても、先ず箱根まで行くには国府津で汽車に別れる。それから乗合いのガタ馬車にゆられて、小田原を経て湯本に着く。そこで、湯本泊りならば格別、....
放水路」より 著者:永井荷風
のを覚えた。わたくしは東京の附近にこんな人跡の絶えた処があるのかと怪しみながら、乗合いの蜆売《しじみうり》に問うてここに始めて放水路の水が中川の旧流を合せ、近く....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の蝙蝠傘の尻端折の男を一人、途中から拾って無理にも割り込ませようとした。これでは乗合いであって特別仕立てではない。貪慾にも程があると思っていると、とうとう庄亮が....