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乗合自動車
「乗合自動車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乗合自動車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
お君さんが、風に煽《あお》られた海のごとく、あるいはまた将《まさ》に走らんとする
乗合自動車のモオタアのごとく、轟く胸の中に描いているのは、実にこの来るべき不可思....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
かなければならない私の宿へ帰るのがいかにも億劫《おっくう》であった。そこへ一台の
乗合自動車が通りかかった。それを見ると私は不意に手を挙げた。そしてそれに乗り込ん....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
危険も免れないのだから沢渡廻りが最も安全ではなかろうか。 沢渡――上高地
乗合自動車はたいてい稲核までしか行かない。スキーをかついで、あの道を歩いていると....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
に来たのも熊さんだった。 がた/\の古馬車と、なたまめ煙管をくわえた老馭者は、
乗合自動車と、ハイカラな運転手に取ってかわられた。 自動車は、くさい瓦斯を路上....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
道から幾折れかの石段で溪ぎわまで下りて行かなければならなかった。街道もそこまでは
乗合自動車がやって来た。溪もそこまでは――というとすこし比較が可笑しくなるが――....
「やんちゃオートバイ」より 著者:木内高音
イは、もう夢中です。走って来る電車の前をすれすれに走りぬけたり、もう少しで満員の
乗合自動車と衝突しそうになったり見ていてもハラハラするようです。歩いている人たち....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
ってテラスの真ん中の丸暖炉と、角隅を囲う硝子屏風はもう季節の冬に対しての武装だ。
乗合自動車の轍の地揺れのたびに落ちるマロニエやプラタアヌの落葉。 テーブルの上....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
うしてみな占領されてしまった。去年の休戦当時にも斯うした例があるので、交通機関の
乗合自動車は宵から賢くも運転を止めてしまったらしく、そこらに一台もその姿を見せな....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
等の豪傑は恒藤と違い、酒を飲んだりストオムをやったり、天馬の空を行くが如き、或は
乗合自動車の町を走るが如き、放縦なる生活を喜びしものなり。故に恒藤の生活は是等の....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
れもしない七月の十二日で、僕の生れた町は停車場から三里余りも離れている。この頃は
乗合自動車が通うようになったが、その時代にはがたくりの乗合馬車があるばかりだ。人....
「発明小僧」より 著者:海野十三
きは天罰覿面、乗客は反省するであろう。 (本発明方式は、一電気局又は一電鉄会社一
乗合自動車会社につき、金五千円也として権利使用を許す。) 〔附記〕折角の発明であ....
「道なき道」より 著者:織田作之助
だろうかと、考えた末の弾き方であったが、しかし審査員達はそんな意味には気づかず、
乗合自動車の女車掌のような寿子の姿勢に、思わず苦笑した。しかし、やがて豪放な響き....
「橋の上」より 著者:犬田卯
らせられようとしていた。―― 橋は百メートルは優にあった。荷馬車やトラックや、
乗合自動車などの往来のはげしいために、ところどころ穴さえ開き、洪水でもやって来れ....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
と一しょに、あたりのさまを一層霜げたものにみせた。――玉の井ゆき吾妻橋ゆきの青い
乗合自動車がそういっても間断なくその道のうえを行交った…… 「おや?」 急に田....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
論、この外にもいろんな人がいる。――がこれらの諸氏は、銀座で、日本橋で、電車で、
乗合自動車で、歌舞伎座で、築地小劇場で、時おりわたしのめぐりあう人たち、めぐり逢....