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乗手
「乗手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乗手の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
の境を破って白城の方へ近づいて来る。馬は総身に汗をかいて、白い泡を吹いているに、
乗手は鞭《むち》を鳴らして口笛をふく。戦国のならい、ウィリアムは馬の背で人と成っ....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
はなづら》に触《あた》りましたから、馬の鼻面は燃えるように見えました。 五人の
乗手の中で、源が心に懼《おそ》れたのは樺《かば》を冠った男です。白、紫、赤などは....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
つかせたりするというような怖ろしい状態になって来た。そして道端の青草を見出すと、
乗手の存在も忘れて草を喰《は》み、どんなに私が苛立《いらだ》っても素知らぬ風を示....
「河明り」より 著者:岡本かの子
石垣の際に、こんもりと雪の積もった処々を引っ掻いて木肌の出た筏が乗り捨ててあり、
乗手と見える蓑笠の人間が、稲荷の垣根の近くで焚火をしている。稲荷の祠も垣根も雪に....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
人間は、歯を喰いしばって呻き、その打撃を堪えた。馬は、恐怖して嘶き、跳上り、暫く
乗手を忘れて、暑い平地を彼方此方に走った。イランの戦士の顔からも、ツランの若者の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
若山丸は無事に伊勢の海を出て、東海の航路を駛《はし》って行ったのでありましたが、
乗手の中にただ一人、無事でなかったのはお玉でありました。お玉はこの舟に乗ってから....
「怪塔王」より 著者:海野十三
でさっと空中にとびだしました。これは怪塔ロケットを追跡していくためでありました。
乗手は有名な金岡大尉と三隈一等航空兵曹とでありました。 しかしこの名手たちも、....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
、殊更寒い昨夜は雨が降り、斯くの如く尾羽打枯して梶棒に掴まって歩るいたって、雨で
乗手が少ない、寒くって耐らんから酒を飲むと、自然と車の輪代がたまって、身代もまわ....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
くなり、平気で私の足許までやって来るようになりました。私が地面に手を差し出すと、
乗手が馬を躍らしてヒラリと跳び越えます。大きな馬に打ち乗って、私の片足を靴ごと跳....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
す時にゃ、きっと鉛|弾丸でやるんだからな。さあ、もうやって来い。」 一頭の馬と
乗手との姿が、渦巻いている霧の中からのろのろと出て来て、例の旅客の立っている、駅....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
越前|直安、二流どころの刀なのさ。……が、切れるぞ、俺が切れば! ……千里の駒も
乗手がヤクザで、手綱さばきが悪かろうものなら、駄馬ほどにも役立たぬ。……名刀であ....
「黄灯」より 著者:田中貢太郎
っつかって、粉粉になった容が眼の前に浮んで来た。 (ありゃ、桐島の書生の鬼火だ、
乗手の判らない自動車に轢かれて死んだと云うことになってるが、何か込み入った理があ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
といえども、死にもの狂いに狂い出すと、下手な手綱ではもう止まらない。 いわんや
乗手は城太郎。 臀に松火をつけられているように、真っ赤な傷口を持っている例の奔....