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「乙女〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乙女の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
、運悪くも教師に見つけられた。教師はしきりにその用途を問いただしたが、恥じやすい乙女心《おとめごころ》にどうしてこの夢よりもはかない目論見《もくろみ》を白状する....
或る女」より 著者:有島武郎
わせても、葉子は張りのあるその目を無邪気に(ほんとうにそれは罪を知らない十六七の乙女《おとめ》の目のように無邪気だった)大きく見開いて相手の視線をはにかみもせず....
クララの出家」より 著者:有島武郎
になったという噂さも、父から勘当を受けて乞食の群に加わったという風聞も、クララの乙女心を不思議に強く打って響いた。フランシスの事になるとシッフィ家の人々は父から....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
でいる様子は、今日まで多くの男をだまして来た女とは露ほども見えないで、清浄無垢の乙女がその衣物を一枚一枚|剥がれて行くような優しさであった。僕が畜生とまで嗅ぎつ....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
葉色の帷子、赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋の乙女椿の花を挿す。両方に手を支いて附添う。 十五夜の月出づ。 白雪 ふみを読むの....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
やーだ。 「先生ッ――」 叫んだのは小山ミチミだ。杜はかねてその生徒に|眩しい乙女という名を、ひそかにつけてあった。 「なんだい、小山」 「先生、あたしが棺の....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
べき振事は更にない。渠は学校出の女優である。 が、姿は天より天降った妙に艶なる乙女のごとく、国を囲める、その赤く黄に爛れたる峰岳を貫いて、高く柳の間に懸った。....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
。一等、水の綺麗な場所でな。居士が言いましたよ。耕地が一面に向うへ展けて、正面に乙女峠が見渡される……この荒庭のすぐ水の上が、いま詣でた榎の宮裏で、暗いほどな茂....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
気を受けて、それ、床の間の花が、」 「あれ、」 と見向く、と朱鷺色に白の透しの乙女椿がほつりと一輪。 熟と視たが、狭い座敷で袖が届く、女房は、くの字に身を開....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ア、きょう下界へでさっしゃるなら、京橋の仙女香を、とって来ておくんなんし、これサ乙女や、なによウふざけるのだ、きりきりきょうでえをだしておかねえか。」(○註に、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に真白き脚絆穿きたるが、足を縮め、筵もて胸を蔽い、欄干に枕して、縦横に寝まりたる乙女等五七人、それなるべし。尽く顔に蓋して、露を厭える笠のなかより、紅の笠の紐、....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
開の姫百合を手折り、小娘のように頭髪に挿したりしました。 私がそうした無邪気な乙女心に戻っている最中でした、不図附近に人の気配がするのに気がついて、愕いて振り....
多神教」より 著者:泉鏡花
漲る裡に、秘密の境は一面の雪景。この時ちらちらと降りかかり、冬牡丹、寒菊、白玉、乙女椿の咲満てる上に、白雪の橋、奥殿にかかりて玉虹の如きを、はらはらと渡り出づる....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
タッセルという、オランダ人の金持ち農夫の一人娘がいた。彼女は花はずかしい十八歳の乙女だった。しゃこのように丸々と肥って、熟して柔らかで赤い頬は、まるで彼女の父の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
は、長き廊下の遠き方に、電燈の澄める影に、月夜に霞の漾うなかに、その三人の白衣の乙女。あわれ、魂を迎うべく、天使|来る矣、と憂えたのである。 雨は篠突くばかり....