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「乙女椿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乙女椿の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
、黒ずんだ旧葉《ふるは》の上に更に新しい葉を着けていた。庭の片隅《かたすみ》には乙女椿《おとめつばき》と並んだ、遅咲の紅《あか》い椿もあった。その花のさかり、青....
」より 著者:島崎藤村
チャブ台を持ち出して、よく簡単な食事に集まったのもそこだ。 庭にあるおそ咲きの乙女椿の蕾もようやくふくらんで来た。それが目につくようになって来た。三郎は縁台の....
昔の火事」より 著者:宮本百合子
った。土地が小さくいくつにかわかれて散在している上に、小さい沢に向って、この頃は乙女椿などが優しく咲いている藪になったところもある。大体が、道路から奥へ入りすぎ....
道標」より 著者:宮本百合子
。赤坊のときから家じゅうの関心がそこに集められていて、和一郎が四つの春、はじめて乙女椿の花の咲いている庭を一人だちで歩いたとき、二歳の姉娘である伸子は母の多計代....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
葉色の帷子、赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋の乙女椿の花を挿す。両方に手を支いて附添う。 十五夜の月出づ。 白雪 ふみを読むの....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
気を受けて、それ、床の間の花が、」 「あれ、」 と見向く、と朱鷺色に白の透しの乙女椿がほつりと一輪。 熟と視たが、狭い座敷で袖が届く、女房は、くの字に身を開....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
い柿の芽、紅い楓の芽、古びたタンク、そして垣根越しに隣りの庭の柔かい楓の芽立ち、乙女椿、常盤樹が見え、雨戸のしまった大きい家の一部が見えます。 こうして自分の....
子を奪う」より 著者:豊島与志雄
薄曇りの日だった。彼は二階の縁側に立って、庭の隅の薄赤いものをぼんやり見ていた。乙女椿の花だということに自ら気付いたのは、暫くたってからであった。彼は眼鏡をかけ....
多神教」より 著者:泉鏡花
漲る裡に、秘密の境は一面の雪景。この時ちらちらと降りかかり、冬牡丹、寒菊、白玉、乙女椿の咲満てる上に、白雪の橋、奥殿にかかりて玉虹の如きを、はらはらと渡り出づる....
遠藤(岩野)清子」より 著者:長谷川時雨
いらした霜柱も解けかけて来た。杉の木の二、三本あった庭には、赤坂からもって来た、乙女椿《おとめつばき》や、紅梅や、海棠《かいどう》などが、咲いたり、蕾《つぼみ》....