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「乙姫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乙姫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
少年」より 著者:芥川竜之介
》を去るの図を彩《いろど》りはじめた。竜宮は緑の屋根瓦に赤い柱のある宮殿である。乙姫《おとひめ》は――彼はちょっと考えた後《のち》、乙姫もやはり衣裳だけは一面に....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
様であろうと千枝松は推量した。王のそばには紅の錦の裳《すそ》を長く曳いて、竜宮の乙姫《おとひめ》さまかと思われる美しい女が女王のような驕慢な態度でおなじく珠の榻....
雪の塔」より 著者:海若藍平
磨《だるま》さん、鍾馗《しょうき》大臣、サンタクローズ、桃太郎、金太郎、花咲爺、乙姫様や浦島太郎、熊、鹿、猪や兎なぞいう獣《けもの》や鳥やお魚や山水天狗、つるま....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
お浪という今年十八の小綺麗な女であった。 「やあ、浦島が昼寝をしているところへ、乙姫さんが舞い込んで来たね」と、半七は薄ら眠いような眼をこすりながら笑った。「こ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
流汁の溝溜もこれがために水澄んで、霞をかけたる蒼空が、底美しく映るばかり。先祖が乙姫に恋歌して、かかる処に流された、蛙の児よ、いでや、柳の袂に似た、君の袖に縋れ....
河明り」より 著者:岡本かの子
ざいましょう」 私はこのませた返事に微笑した。 「この近所では亀島河岸のモダン乙姫と申しております」 私の微笑は深まった。 「他所へお出になることがあって」....
雛妓」より 著者:岡本かの子
ここにも美に関るものは附いて離れなかった。在々所々のそれ等の家に何々小町とか何々乙姫とか呼ばれる娘は随分生れた。しかし、それが縁付くとなると、草莽の中に鄙び、多....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
る。けれども、明治十八年建設当初に、河鍋暁斎や落合芳幾をしてこの館の点睛に竜宮の乙姫を描かせたほどの綺びやかな眩惑は、その後星の移るとともに薄らいでしまった。今....
奇妙な遠眼鏡」より 著者:香倶土三鳥
高い高い大きな大きな金剛石の御殿が建っていて、その中にあのお伽噺の中にある竜宮の乙姫様のような美しいお嬢さんがこちらの方を見て手招きをしております。 リイは急....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
、紫、雲の上を山の峰へお潜びにてお出ましの節、珍しくお手に入りましたを、御姉君、乙姫様へ御進物の分でござりました。 侍女一 姫様は、閻浮檀金の一輪挿に、真珠の露....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
に見て、松毬のちょろちょろ火、蛤の煙がこの月夜に立とうなら、とんと竜宮の田楽で、乙姫様が洒落に姉さんかぶりを遊ばそうという処、また一段の趣だろうが、わざとそれが....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
事を弁えて、あの竜神様のお宮へお詣りせねばならぬ。又機会を見て竜宮界へも案内し、乙姫様にお目通りをさしてもあげる。』 お爺さんのお話は、何やらまわりくどいよう....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
委しいのは既にこの土地に馴染の証拠。 「したが、女中は山猿でも、当家の娘は竜宮の乙姫が世話に砕けたという尤物。京大阪にもちょっとあれだけの美人は御座るまいて」と....
三枚続」より 著者:泉鏡花
女ですっさ。其奴を煽がされるなんて可哀相じゃアありませんか。 いいえね、竜宮の乙姫てえ素ばらしいのだって、蜈蚣にゃあ敵いませんや、瀬多の橋へあらわれりゃ、尋常....
式部小路」より 著者:泉鏡花
中を一火で、醤油をつけて、と奴十七日だけれども、小遣がないのである。而已ならず、乙姫様が囲われたか、玄人でなし、堅気でなし、粋で自堕落の風のない、品がいいのに、....