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九段坂
「九段坂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
九段坂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ばかりごみごみ並んだ二十年前の神保町通りを、その古本屋の屋根の上に日の光を受けた
九段坂の斜面を。勿論当時の神保町通りは電車も馬車も通じなかった。彼は――十二歳の....
「窮死」より 著者:国木田独歩
九段坂の最寄《もより》にけちなめし屋がある。春の末の夕暮れに一人《ひとり》の男が....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
お方ゆえ我慢をなすって押しておいでのでいけません、風邪を押損なったら仕方がない、
九段坂を昇ろうとする荷車見たように後へも前へも往けません。とうとう藤本の寄席へ材....
「うつり香」より 著者:近松秋江
はあの銘仙の焦茶色になった野暮の絣を着て出たままだ。 小石川は水道町の場末から
九段坂下、須田町を通って両国橋の方へつづく電車通りにかけて年の暮れに押し迫った人....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
ふざけながら歩いていた。町はもう日暮に近く、寒い風が庸三の外套の翼に吹いていた。
九段坂へ差しかかった時、荷車の後を押し押して、女連れに少しおくれて、えっちらおっ....
「Liber Studiorum」より 著者:寺田寅彦
ンの煙だけでも霧の凝縮核を供給することはたいしたものであろう。寒い曇天無風の夜|
九段坂上から下町を見るといわゆるロンドンフォッグを思わせるものがある。これも市民....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
出さねえばなんねえが、此の瑞穂野村てえ処に万福寺と云うお寺があるんだ、其処にもと
九段坂上に居た久留島修理さまてえ方が田地を買って、有福に隠居をなすって在らっしゃ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で、彼等は一気に江戸まで押し通すや否や、竹刀と道具を釣台に舁《かき》のせて、麹町
九段坂上三番町、神道無念流の師範斎藤篤信斎弥九郎の道場、練兵館へ押寄せて、殺気満....
「まぼろし」より 著者:国木田独歩
い思いに沈んでいるかしているようで、自分もまた何とはなしに夢心地になって歩いた。
九段坂の下まで来ると、だしぬけに『なんだと、酔っている、ばか! 五合や一升の酒に....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
くなって、早々にそこを立去った。 彼は方角をかえて、神田から九段の方へ行くと、
九段坂の上にも大勢の人がむらがっていた。彼はそこで暫くうろうろしていると、またぞ....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
り、体温は中々高い。すぐ医者に来てもらって解毒の手当し、医者から一応警察に届け、
九段坂病院に入れた。遺書が出たが、其にはただ私への愛と感謝の言葉と、父への謝罪と....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
れざる切抜の一部と仮目次とを容れたり。乱擾尚全く平ぐに及ばず、剣戟の声|鏘鏘たる
九段坂上の夜、公余に編輯を続行せし当時を思へば感慨未だ尽きず。 本書の編輯に際し....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
したち四人は麹町の元園町から神田の万世橋まで歩いて行った。七月なかばの暑い日で、
九段坂を降りて小川町へさしかかる頃には、わたしの顔一面に汗の雫が流れ出すくらいで....
「梅雨晴」より 著者:永井荷風
から大きなものを背負って息を切らして上って来る一人の男がある。電車の通らない頃の
九段坂は今よりも嶮《けわ》しく、暗かったが、片側の人家の灯で、大きなものを背負っ....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
御門《はすいけごもん》、三宅坂下《みやけざかした》の桜田御門《さくらだごもん》、
九段坂下《くだんざかした》の牛《うし》ヶ|淵《ふち》等古来人の称美する場所の名を....