乞い[語句情報] » 乞い

「乞い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乞いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
口へ持って行った。目は畳に向いていた。 その翌日、午前中に、吉弥の両親はいとま乞いに来た。僕が吉弥をしかりつけた――これを吉弥はお袋に告げたか、どうか――に対....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
見て、 「御免なさい。御免なさい。父さんに言っては可厭だよ。」 と、あわれみを乞いつつ言った。 不気味に凄い、魔の小路だというのに、婦が一人で、湯帰りの捷径....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
に口惜かった。嫉妬だ、そねみだ、自棄なんです。――私は鷭になったんだ。――鷭が命乞いに来た、と思って堪えてくれ、お澄さん、堪忍してくれたまえ。いまは、勘定がある....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ることはできはしませぬ。 『御免くださいませ……。』 私は思い切ってそう案内を乞いました。すると、年の頃十五|位に見える、一人の可愛らしい小娘がそこへ現われま....
故郷」より 著者:井上紅梅
をしたあとで母は語を継いだ。 「お前さんは久しぶりで来たんだから、本家や親類に暇乞いを済まして、それから出て行くことにしましょう」 「ええそうしましょう」 「あ....
砂書きの老人」より 著者:上村松園
砂書きの老人 上村松園 まだ私が八、九歳のころ京都の町々にいろいろな物売りや、もの乞いがやって来ていたが、その中に五十歳ぐらいのきたならしい爺さんが、絣木綿のぼろ....
良夜」より 著者:饗庭篁村
の如き出京の志し弱き手綱に繋ぐべきにあらず。十七の春なりし。心を決して父と伯父に乞いもし許されずは出奔せん覚悟を様子にそれと悟りてか、左まで思わば出京せよと許可....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
ず、使を以て小栗に申出ずるよう江戸に浅田宗伯という名医ありと聞く、ぜひその診察を乞いたしとの請求に、此方にては仏公使が浅田の診察を乞うは日本の名誉なりとの考にて....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
こへ来たのは、金石の港に何某とて、器具商があって、それにも工賃の貸がある……懸を乞いに出たのであった―― 若いものの癖として、出たとこ勝負の元気に任せて、影も....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ると、思ったほどに衰れてもいなかったので、半日を閑談して夜るの九時頃となった。暇乞いして帰ろうとすると、停車場まで送ろうといって、たった二、三丁であるが隈なく霽....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
クリとお遊びにいらしって下さい」と後日の再訪を求めて打切られるから、勢い即時に暇乞いせざるを得なくなった。随って会えば万更路人のように扱われもしなかったが、親し....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
二葉亭の歿後、坪内、西本両氏と謀って故人の語学校時代の友人及び故人と多少の交誼ある文壇諸名家の追憶または感想を乞い、集めて一冊として故人の遺霊に手向けた。その折諸君のまちまちの憶出を補うため....
四十年前」より 著者:内田魯庵
崎行雄であった。尾崎は重なる逐客の一人として、伯爵後藤の馬車を駆りて先輩知友に暇乞いしに廻ったが、尾行の警吏が俥を飛ばして追尾し来るを尻目に掛けつつ「我は既に大....
芸術三昧即信仰」より 著者:上村松園
る日、つとにおきて僧堂に禅師を訪ねました。有り余るなやみを胸に抱いて禅師の教えを乞いに参じたところ、詰所の人が禅師はお休みだからと断るようでした。わたしは「では....
活人形」より 著者:泉鏡花
とて、弱きを助くる探偵ありと、雲間に高きお姓名の、雁の便に聞ゆるにぞ、さらば助を乞い申して、下枝等を救わむと、行李そこそこかの地を旅立ち、一昨日この地に着きまし....