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「乞う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乞うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
まま、御祈りの言葉を呟《つぶや》き始めました。老女もやはり夫のように天帝の加護を乞うているようです。わたしはその間《あいだ》瞬きもせず、弥三右衛門の顔を見続けま....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
《あいさつ》した。が、含芳の立ちかかるのを見ると、殆《ほとん》ど憐《あわれ》みを乞うように何か笑ったりしゃべったりした。のみならずしまいには片手を挙げ、正面の僕....
おしの」より 著者:芥川竜之介
はこう云う言葉の間《ま》も、じっと神父を見守っている。その眼には憐《あわれ》みを乞う色もなければ、気づかわしさに堪えぬけはいもない。ただほとんど頑《かたく》なに....
猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
は不十分である。だから蟹の弁護に立った、雄弁の名の高い某弁護士も、裁判官の同情を乞うよりほかに、策の出づるところを知らなかったらしい。その弁護士は気の毒そうに、....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
難している乳牛を引上げるについてここより本所停車場までの線路の通行を許してくれと乞うた。駅員らは何か話合うていたらしく、自分の切願に一顧をくれるものも無く、挨拶....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が、ギックリ、髪の揺れるほど、頭を下げて、 「御免なすって、」と盗むように哀憐を乞う目づかいをする。 「出、出しおろう、」 と震え声で、 「馬鹿!」と一つ極め....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
るは信仰によりて、律法の行いに依らず」といって、乞食のように、神なるものに情けを乞うたではないか。又お前の信仰の虚偽を発かれようとすると「主よ主よというもの悉く....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
あると言うが、その説明をしてほしい。 答 かくの如き問題はその道の学者に教えを乞うべきで、私如きものが回答するのは僭越極まる次第であるが、私の尊敬する白柳秀湖....
黒百合」より 著者:泉鏡花
せるものもあるんでございますから。」 と窮したる笑顔を造って、渠はほとんど哀を乞う。 滝太郎は黙って頷くと斉しく、駒の鼻頭を引廻らした。蹄の上ること一尺、夕....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
は此問題にかかり合っているべき勇気を有たない。われ等の使命は、地上の人間の憐憫を乞うべく、あまりにも重大である。われ等の答が、まだ充分腑に落ちかぬるとあらば、わ....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
少字句の誤なきを期せざれば寧ろその本文を公にするに若かざるべしとて、これを先生に乞うて時事新報の紙上に掲載することとなし、なお先生がこの文を勝、榎本二氏に与えた....
良夜」より 著者:饗庭篁村
西町のその人を尋ねたり。黒塀に囲いて庭も広く、門より十五六歩して玄関なり。案内を乞うて来意を通ずれば、「珍しき人よりの手紙かな、こちらへと言え」と書生に命ずる主....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
には興味無之ものに御座候。以上。 エム、ファラデー 時々は手紙で質問し、返事を乞うた人もある。この中で面白いのは、ある囚人のよこした手紙である。 「貴下のなさ....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
名医ありと聞く、ぜひその診察を乞いたしとの請求に、此方にては仏公使が浅田の診察を乞うは日本の名誉なりとの考にて、早速これを許し宗伯を熱海に遣わすこととなり、爾来....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
ある。 時にはまたひょっこり農家を訪れることもあるのであった。しかしそれは食を乞うためではなかった。彼は生ものを好み、煮沸したものは好まないらしい。そしてそう....