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乞丐
「乞丐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乞丐の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
服《どうふく》を着て、鳥が巣をくいそうな頭をした、見苦しい老人である。(ははあ、
乞丐《こじき》をして歩く道士だな――李はこう思った。)瘠せた膝を、両腕で抱くよう....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
。むしろ人間社会における強弱優劣の関係より来る、西洋に奴隷制の存せしはなお東洋に
乞丐制の存せしごときのみ、その彝倫の道にありては上下尊卑を主とせずして、つねに左....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
バ与え、エホバ取り玉う」のである。土が残って居る。来年がある。昨日富豪となり明日
乞丐となる市井の投機児をして勝手に翻筋斗をきらしめよ。彼愚なる官人をして学者をし....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
に比べて崇拝した宗義など、読者をぞっとさせる底の珍譚山のごとく、上は王侯より下|
乞丐《こつがい》に至るまで聞いて悦腹せざるなく、ロンドンに九年|在《い》た中、近....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
セヴァルやトリスタンやイソールト、その世に称揚された美人好男いずれも千載一洗せぬ
乞丐《こじき》的の人物だった由ミシュレーが言った――日本に調香の知識が開けたは、....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
けて憩うが如く、乞食僧にありては、杖が鼻の椅子なりけり。 奇絶なる鼻の持主は、
乞丐の徒には相違なきも、強ち人の憐愍を乞わず、かつて米銭の恵与を強いしことなし。....
「細木香以」より 著者:森鴎外
。 鹿嶋屋は「大尽」である。寒生のわたくしがその境界を窺い知ることを得ぬのは、
乞丐が帝王の襟度を忖度することを得ぬと同じである。是においてや僭越の誚が生ずる。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
将軍になるには、どうしても源氏の系統をこしらえなければならず、たまたま土民の中、
乞丐《きっかい》の間から木下藤吉郎のような大物が生れ出でても、その系図の粉飾には....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
て見た書物に、『斑鳩やとみの小川の絶えばこそ我が大君の御名は忘れじ』と歌を詠した
乞丐《きっかい》が、達磨の化身であったという話があるので、ちょっと私の注意を引い....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
。また徳川時代に一時禁煙令の出たことがあった。或日商人某が柳原の通をゆくと一人の
乞丐が薦の中に隠れて煙草を喫んでいるのを瞥見して、この禁煙令はいまに破れると見越....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
あろう。富有な旦那の冥利として他人の書画会のためには千円からの金を棄てても自分は
乞丐画師の仲間となるのを甘じなかったのであろう。 この寛闊な気象は富有な旦那の....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
か薦被るかだ、」と能く人に語ったそうだ。(金鍔指すか薦被るかというは大名となるか
乞丐となるかという意味の名古屋附近に行われる諺。) 十五歳の時、島根から上京し....