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乱杭
「乱杭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乱杭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
らめいた川波には坊主頭の死骸《しがい》が一人、磯臭い水草や五味《ごみ》のからんだ
乱杭《らんぐい》の間に漂っていた。――彼は未だにありありとこの朝の百本杭を覚えて....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「ひしゃげた鼻! 膨れ上がった唇!」 「永劫恋は封じられました」 「食い反らせた
乱杭歯!」 「しかも三本欠けております」 「ドンヨリと黄色く濁った眼!」 「おう....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
くれ。お前の竿の先の見当の真直のところを御覧。そら彼処に古い「出し杭」が列んで、
乱杭になっているだろう。その中の一本の杭の横に大きな南京釘が打ってあるのが見える....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
伝いに遠道の永代橋口へさしかかって行くと、酔狂といえば酔狂でした。そこの橋手前の
乱杭際に片寄せて、冬ざれの夜には珍しい夜釣りの舟が一艘見えるのです。しかもこれが....
「軽井沢」より 著者:寺田寅彦
を並べたような山列が斜め向きに並び、その左手の山の背には、のこぎり歯というよりは
乱杭歯のような凹凸が見える。妙義の山つづきであろう。この山系とは独立して右のかた....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
作は、潜んでいるにちがい無い。何か、うまい計略でも考えて――) 女狩は、川岸の
乱杭の中に、流れついた竹が、ぴくぴく動きながら、立っているのを、じっと凝視《みつ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
の凹んだ鞍のような路から、左の小高い崖に登って向うの谷を見ると、大なる穂高山は、
乱杭歯のような肩壁を張りつめて、奥の穂高とおぼしきは、一と際高く黒縅の岩石を空に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しと鼻を撲《う》つのでありました。 磯に沿うた崖《がけ》と、小屋の支えになった
乱杭《らんぐい》の間の細道を歩かせられて、どうやら材木小屋の下を潜《くぐ》って深....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
。」 と、飲んだ茶と一緒に、したたか感心して、 「これぞ、自然なる要害、樹の根の
乱杭、枝葉の逆茂木とある……広大な空地じゃな。」 「隠居さん、一つお買いなすっち....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
出やがる。歯茎が真黒だというが。」 この弦光の言、――聞くべし、特説|也。 「
乱杭、歯くそ隠の鉄漿をつけて、どうだい、その状で、全国の女子の服装を改良しようの....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
谷川へ伐出す杉|檜松|柏を八方より積込ませ、漕入れさせ、納屋にも池にも貯うること
乱杭逆茂木を打ったるごとく、要害堅固に礎を立てた一城の主人といっても可い、深川木....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
その饒舌る事饒舌る事。追従笑いの大口を開くと歯茎が鼻の上まで開けて、鉄漿の兀げた
乱杭歯の間から咽喉が見える。怯えたもんですぜ。私が九ツ十ウくらいの時まで、其奴が....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
は残っていない。「百本杭」はその名の示す通り、河岸に近い水の中に何本も立っていた
乱杭である。昔の芝居は殺し場などに多田の薬師の石切場と一しょに度々この人通りの少....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
下津川山から小沢岳の方面へかけて雲が余程低く垂れている。至仏山、笠ヶ岳。武尊山の
乱杭頭にも古綿のような雲が流れ寄っていた。尾瀬沼の東の檜高山、治右衛門池の南の皿....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
崩石の群を冷やかに瞰下ろして、断崖の絶端から絶端へ天斧の削痕尚お鮮かなる大尖柱を
乱杭のように押し立てている。早月川の谷から力の籠った而も穏かな山稜の波が遥かの空....