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乱杭歯
「乱杭歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乱杭歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「ひしゃげた鼻! 膨れ上がった唇!」 「永劫恋は封じられました」 「食い反らせた
乱杭歯!」 「しかも三本欠けております」 「ドンヨリと黄色く濁った眼!」 「おう....
「軽井沢」より 著者:寺田寅彦
を並べたような山列が斜め向きに並び、その左手の山の背には、のこぎり歯というよりは
乱杭歯のような凹凸が見える。妙義の山つづきであろう。この山系とは独立して右のかた....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
でいる群集の中で。 眉は歪み、眼はくぼみ、獅子っ鼻に口は大きく額部が抜け上って
乱杭歯《らんぐいば》、般若の面のような顔がひとつ。 小銀杏《こいちょう》の髪。....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
の凹んだ鞍のような路から、左の小高い崖に登って向うの谷を見ると、大なる穂高山は、
乱杭歯のような肩壁を張りつめて、奥の穂高とおぼしきは、一と際高く黒縅の岩石を空に....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
立姿。
人間よりも、縷々《るる》として昇る一線の不吉な煙……。
パクパクと、
乱杭歯《らんぐいば》の口をあけた。声は、しゃがれて、鑢《やすり》で骨を挽《ひ》く....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の人々を見た。苦笑とも欠伸《あくび》ともつかず、口をあけた。煙草で染まった大きな
乱杭歯《らんぐいば》が見える。 思い切ったように、とむらい彦兵衛が、 「親分、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
その饒舌る事饒舌る事。追従笑いの大口を開くと歯茎が鼻の上まで開けて、鉄漿の兀げた
乱杭歯の間から咽喉が見える。怯えたもんですぜ。私が九ツ十ウくらいの時まで、其奴が....
「上海」より 著者:横光利一
くさい大蒜の匂いのした舌や、べったり髪にくっついた油や、長い爪や、咬みつく尖った
乱杭歯やが――と思うと、もう彼女はあきらめきった病人のように、のびのびとなってし....