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乳色
「乳色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乳色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
のないほど肉感的な手足の指の先細《さきぼそ》な所に利点を見せていた。むっくりと牛
乳色の皮膚に包まれた地蔵肩《じぞうがた》の上に据《す》えられたその顔はまた葉子の....
「星座」より 著者:有島武郎
いた。
綺麗に掃除されたラムプの油壷は瑠璃色《るりいろ》のガラスで、その下には
乳色のガラスの台がついていた。ありきたりの品物だけれども、大事に取り扱われている....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
は入口にしばらく佇《たたず》んでいたが、気づいて、頭上の桟窓をずらせた。すると、
乳色をした清々《すがすが》しい光線が差し込んでき、その反映で、闇の中から、梁《は....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
今夜も、とどのつまり、それがやって来た。 海から吹きつける海霧が、根室の町を
乳色に冷くボカして、酒場の硝子窓には霜のような水蒸気が、浮出していた。真赤に焼け....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
て、もう高くも低くもならなくなった。天井に近く長い二流三流の煙の横雲が、草臥れた
乳色になって、動く力を失っている。 靠れ框の角の花壺のねむり草が、しょうことな....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ばかりの壁から一尺ほど手前の床に、何やら印をつけると、室は再び旧に戻って、窓から
乳色の外光が入って来た。検事は窓の方へ溜めていた息をフウッと吐き出して、
「いっ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
るようだ。朦朧として見究められぬ水を見ようと覗いて見ても、湖水の蒼い水の代りに、
乳色の濛気を見るばかりだ。 その水蒸気の壁の厚さは幾らあるとも知れなかった。白....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
一 牛
乳色の靄が山の麓へ流れ集りだした。 小屋から出た鵝が、があがあ鳴きながら、河ふ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
る。火炉には釜がかかっている。巨大な唐風の釜である。釜から立ち上っているものは、
乳色をした湯気である。部屋全体が煙っている。紫陽花《あじさい》色に煙っている。天....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、畳の上に置かれ放しになっている、配役|書だったのである。 で、窓を開けると、
乳色の清々しい月の光が差し込んできて、その刹那、彼の眼をハッシと射返したものがあ....
「火の扉」より 著者:岸田国士
なすがたで、一列に立ちならんでいた。 海岸線に近づくと、なるほど、太陽の光りは
乳色の霧のなかに吸いこまれて、沿道の木立も、家も、牧場のさくも、家畜の群れも、い....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
いよいよ女ホレイショが、オフェリヤを小川の中に導く、殺し場になった。 そこは、
乳色をした小川の流れが、書割一体を蛇のようにのたくっていて、中央には、金雀枝の大....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
に出して遣った。 五 午前一時過ぎのドーヴィル賭博場内だ。 牛
乳色に澱んだ室内の空気のなかで、深酷な血の吸い合いが初まっていた。 煙草のけむ....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
も、脚の所にも白い革紐が垂れていなくって、金属で拵えた首を持たせる物がなくって、
乳色の下鋪の上に固定してある硝子製の脚の尖がなかったなら、これも常の椅子のように....
「青い時計台」より 著者:小川未明
ような青葉に、風が当たって、海色をした空に星の光が見えてくると、遠く町の燈火が、
乳色のもやのうちから、ちらちらとひらめいてきました。 すると毎日、その時分にな....