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乾し
「乾し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乾しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
いもあるであろうが、顔色は黄疸ではないかと思われるほど真ッ黄色だった。鼻は細根の
乾し蘿蔔を思わせるように、痩せて乾枯らびていた。下眼瞼はだらりと垂れて、刷毛で書....
「赤外線男」より 著者:海野十三
らしく、大きい溜息をつくと、ビールを口にもっていって、琥珀色の液体をグーッと呑み
乾した。筆者は壜をとりあげると、静かに酌いでやった。 「それからあの殺人騒ぎだ。....
「地獄街道」より 著者:海野十三
よ」と彼は打ち消して、 「さア乾杯だ」 彼はキュッとグラスから黄色い液体を飲み
乾した。私は狐に鼻をつままれているような気がしたが、アルコールときては目がないの....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
地の上には顔色のよくない若衆がいて、前日までの長雨に大湿りの来た筵を何十枚となく
乾し並べていたので、妾はそれに声をかけた。そしてこれが紛れもなく銀平の率いる曲馬....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
の粋な築山も古木も見えず。支那風のくりぬきから中をのぞけば、奥の方に桃色の腰巻が
乾してあるのが目についた。僅かに南浦園のかおりがする。 角に消防署があるところ....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
く板取と書くのを見る。その頃、藁家の軒札には虎杖村と書いてあった。 ふと、軒に
乾した煙草の葉と、蕃椒の間に、山駕籠の煤けたのが一挺|掛った藁家を見て、朽縁へ※....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
嬉しい。では――」 カチンと洋盃を触れあわせると、二人は別々の盃からグッと飲み
乾した。 「やあ、これで俺の勝利だ。今度は俺が君のために乾杯することにしよう」 ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
ると、大袈裟ではありません、海岸三里四里の間、ずッと静浦の町中まで、浜一面に鰯を
乾します。畝も畑もあったものじゃありません、廂下から土間の竈まわりまで、鰯を詰込....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
露や厭う、ともの優しく、よろけた松に小綱を控え、女男の波の姿に拡げて、すらすらと
乾した網を敷寝に、舳の口がすやすやと、見果てぬ夢の岩枕。 傍なる苫屋の背戸に、....
「露肆」より 著者:泉鏡花
す、へい、油費えでさ。」 と一処に団まるから、どの店も敷物の色ばかりで、枯野に
乾した襁褓の光景、七星の天暗くして、幹枝盤上に霜深し。 まだ突立ったままで、誰....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
話をつけた。此奴は褌にするため、野良猫の三毛を退治て、二月越内証で、もの置で皮を
乾したそうである。 笑話の翌朝は、引続き快晴した。近山裏の谷間には、初茸の残り....
「髷」より 著者:上村松園
ると、額のところで剪ってそろえた。 そのことをめざしと呼んだが、どういうわけで
乾し魚のような名前をつけたのか……ある研究家によると、垂れ下った髪が目を刺すから....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
から下ろしたばかりの麻と毛とを交ぜたたくさんの織物や、玉蜀黍の穂が置いてあった。
乾し林檎と挑とが紐でつないで、にぎやかに花づなのように壁につるしてあったが、なか....
「米」より 著者:犬田卯
いて説明するには、その朝言いつけられたとおり、まだ扱かない小麦の束を庭へひろげて
乾していると、おちえと二人で小麦束の中へ入って歌などうたっていたが、急に黙ってし....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
免れられない……因縁です。」 小山夏吉は、半ば独言いて嘆息して、苦そうに猪口を
乾した手がふるえた。 小山夏吉は寂く微笑んだ。 「ははは、泣くより笑で。……富....